リビア:ピンクのスカーフの女性。今、生きているかはわからない

2017年09月08日掲載

脚に重度のやけどを負った女性にほかの収容者の女性が汚れた包帯を巻く 脚に重度のやけどを負った女性に
ほかの収容者の女性が汚れた包帯を巻く

「怖いんです。ここに残りたい人などいません。家に帰りたい。殴られるんです」

警備員が近づくと、ささやきを止めて口を閉じる女性。

フランス人報道写真家のギヨーム・ビネは2017年3月に単独でリビアに入り、収容センターで身柄を拘束されている難民、移民、庇護を求める人たちの苦境を伝えている。

リビアは現在、紛争や貧困から逃れようとヨーロッパを目指す人びとの中継地点となっている。だが、多くの人が地中海上や浜辺で沿岸警備隊に拿捕(だほ)されたり、検問所で捕まったりして、収容センターに勾留されている。ビネはピンクのスカーフを巻いた女性を収容センターで取材した。

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治療も受けられず、汚れた包帯を巻く

彼女の名前も、今も生きているかさえ分かりません。警備員に止められて話しかけることはできませんでした。首都トリポリから西へ約60kmの沿岸部にある収容センターの庭で身柄を拘束されていました。多くの女性たちが身柄を拘束されていました。

女性たちはヨーロッパを目指して地中海を渡ろうとして、リビアの沿岸警備隊に拿捕(だほ)され、収容センターに連れ戻されました。海を渡るのは3度目という女性たちもいましたが、結局、リビア沿岸警備隊に捕まり、収容センターに連れ戻されたそうです。

多くの女性は脚に重度のやけどを負っていました。化学やけどです。ゴムボートの船べりに海水がはね、床にこぼれた燃料と混ざって化学反応を起こし、毒性のある化合物になります。それに長時間さらされていたのです。

ピンクのスカーフを巻いた女性は脚の広範囲にやけどを負っていました。地面に静かに座り、呼吸は浅く、明らかに辛そうな表情を浮かべていました。

他の収容された女性が、彼女の傷に止まろうとしたハエをスカーフで追い払っていました。汚れた包帯で傷を巻こうとする女性もいました。

ピンクのスカーフの女性がその後どうなったかは分かりません。治療が絶対に必要な状況でした。治療なしには助からないでしょう。

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