ナイジェリア:石けんがあれば......――難民キャンプでE型肝炎が流行

2017年08月15日掲載

ンガラ・キャンプ内で水を運ぶ子どもたち ンガラ・キャンプ内で水を運ぶ子どもたち

ナイジェリア北東部のンガラ難民キャンプでE型肝炎が流行している。ニジェールから感染が拡大してきたとみられる。キャンプ内の劣悪な生活環境と洪水が重なったことで、短期間で数百人が感染した。

キャンプ内人口は約4万5000人。武装勢力「ボコ・ハラム」とナイジェリア政府軍間の紛争から逃れてきた人びとだ。国境なき医師団(MSF)の医療コーディネーターを務めるニコレッタ・ベッリオにキャンプの状況について聞いた。また、キャンプに避難しているマラン・イブラヒム・カナさん(43歳)が避難当時の状況を語った。

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2ヵ月で患者数400人、死亡者も

雨期に入り水びたしとなったキャンプ内 雨期に入り水びたしとなったキャンプ内

心配な状況です。雨期に入って洪水が繰り返し起こり、通路もトイレも仮設住居も水があふれています。そこにさらに雨が降り、キャンプ全体が汚泥と汚水に覆われています。まるでばい菌やウイルスを広める"レシピ"のようです。トイレは設置されているものの、用を足す際にトイレを使わない人もいるため、汚水がいたるところに広がってしまうのです。

直近の2ヵ月でE型肝炎の患者数は400人を超え、MSFが治療した患者数は170人に上ります。ですから、E型肝炎の集団発生が宣言されたのも驚くにはあたりません。

通常は治療することで回復しますが、妊婦や胎児にとっては大変危険な場合があります。流産や死産に至る確率が高く、未熟児で生まれる確率も高まります。出産時と産後の大量出血の原因にもなります。

過去2ヵ月間で妊婦4人がE型肝炎に起因する合併症で亡くなっています。石けんや清潔な水といったシンプルなもので衛生面を保てば防げた死です。4人もの命が失われたというのは、あまりにも犠牲が多すぎると感じます。

MSFの健康教育チームは地域住民と協働し、キャンプ内の汚水やごみ処理を行っています。また、石けんを配り、給水の際の塩素消毒も手がけています。他の人道援助団体も給水改善に向けて動き出しています。

雨期は数ヵ月間続くので、E型肝炎の症例がさらに増えたり、コレラの集団発生につながったりするのではないかと懸念しています。ンガラは都市部から遠く離れた地域にあり、治安もよくないため、MSFの活動がさらに厳しくなることも予想されます。

3回目の避難でンガラ・キャンプに――マラン・イブラヒム・カナさん(43歳)

避難時の状況を語るマラン・イブラヒム・カナさん(43歳) 避難時の状況を語るマラン・イブラヒム・カナさん(43歳)

ンガラから15kmほどのところにある村の出身です。避難はこれで3回目。家族を連れて4日間も歩き続け、昨日、やっとキャンプにたどり着きました。最初の避難は、ボコ・ハラムに襲撃されて村を出たときです。それから3年間、大変なことがいろいろありました。

ボコ・ハラムは村のはずれに陣取り、私たちの食べ物や家財を奪いました。農作物も釣った魚も持っていかれました。夜間は外出禁止だと言い渡されました。多くの男たちが殺害されました。

政府軍が進攻してきて安全になると期待したのですが、そうはなりませんでした。時々、爆撃機が村はずれに爆弾を落としていく音が聞こえました。偶然近くにいた人も巻き添えになって負傷しました。地上戦も続いていて、村の外に出られない日が続きました。

生活は困難を極め、村民の多くが病気になって命を落としました。村には病院もありませんでしたから、治療のあてもありません。みんな逃げ出して、多くはこのキャンプに来ています。着の身着のままで逃げてきたので、ここでは何も持っていません。

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