タンザニア: 「私が"難民"だと思うと不思議です」――29万人以上がキゴマ地区に

2017年02月21日掲載

ンドゥタ・キャンプ内に新設された5軒目の医療施設 ンドゥタ・キャンプ内に新設された5軒目の医療施設

タンザニア北西部に位置するキゴマ地区。ここに設置された難民キャンプ群には29万人以上が滞在している。そのうちの圧倒的多数が隣国ブルンジから来た人びとだ。国境通過は連日あとを絶たず、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2017年1月にも約1万9000人のブルンジ人がタンザニアに到着した。

難民キャンプは過密状態で衛生状態が悪い。特に、新たに到着した人びとが収容されている施設でその傾向が顕著だ。こうした環境は、下痢、気道感染症、皮ふの異常など、さまざまな健康問題を引き起こす。中でも、子どもと妊産婦は特に病気になりやすい。

難民キャンプの最大の危険の1つがマラリアだ。雨期にはよどんだ水が蚊の繁殖場所となり、流行が深刻化する。国境なき医師団(MSF)は1月だけで3万1200人にマラリア検査を行った。その結果、感染が判明した1万6812人を治療している。MSFの患者に難民キャンプでの生活について聞いた。

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大学生活と育児の満ち足りた日々を送るはずが……――ムパウェナヨさん(22歳)

「自分が難民になるとは……」と落胆するムパウェナヨさん 「自分が難民になるとは……」と落胆するムパウェナヨさん

2ヵ月前からンドゥタに滞在しています。ンドゥタに着くとテント1張と食糧と調理器具と水を支給されました。そういったものを受け取るのは妙な気分でした。ありがたいと思います。ただ、故郷には家がありましたし、物もそろっていました。それをすべて残してきたことを思い出してしまって……。援助を受けていますが、それでもテント生活は大変です。食糧が足りず、いつもお腹が空いています。

ンドゥタでの1日は1週間のように長く感じられます。週を追うごとに以前の生活が遠のいていくようです。ブルンジでは大学に通っていて、人文科学専攻でした。ごく普通の生活を送り、初めての子どもの出産を控えていました。その私が今、難民キャンプで過ごす難民だと思うと不思議な感じです。こんな状況になるなんて思ってもみませんでした。

今は体調がよくありません。めまいとお腹の激痛でここに入院しています。夫が救急車を呼んでくれましたが来ませんでした。そこでMSFの医療施設に行き、スタッフの方にこちらを紹介していただきました。医師の話では、私の病気は重症マラリアと尿路感染症とのことです。妊娠28週なのですが、流産する恐れがあるとも言われました。

もし赤ちゃんを亡くしたら、私は自分を責めるでしょう。今も、この子に最善の環境を整えてあげられないことが申し訳ないです。ただ、難民キャンプで、妊婦が自分自身をいたわることは簡単ではありません。先が思いやられます。何もかもが見通せなくなってしまいました。

マラリアの怖さを実感しました……――テレサさん(60歳)

「蚊帳の大切さを実感しました」と語るテレサさん 「蚊帳の大切さを実感しました」と語るテレサさん

ニャルグス・キャンプ内の小屋で息子夫婦と、2歳になる孫と暮らしています。孫は男の子です。小屋は1部屋だけで、天井はトタンとビニルシートです。マラリア予防のために蚊帳をつっています。

もう1年半になります。生活はとても大変で、食糧も水もなかなか満足に手に入らず、環境は劣悪です。不潔で、どこもほこりまみれで、きれいにしておくことなどできません。何度も病気をしましたが、特にひどかったのは、激しい頭痛と熱が出て、胸の動悸(どうき)まで感じられた時です。衰弱してふらつき、立つことさえできませんでした。息子に付き添われキャンプ内の病院に行くと、マラリアと診断されました。

マラリアにかかってどれほど危険な病気かを実感しました。家族……特に孫が同じ目に合わないかと心配しています。マラリアは蚊が広めることは知っています。なので、孫を守りたいのです。ただ、蚊帳が破れ、蚊が簡単に通り抜けられる大きな穴が開いてしまっていました。そこで1ヵ月前にMSFから新しい蚊帳をいただき、今は毎晩、その中で孫と寝ています。

とてもうれしく、キャンプの全員に蚊帳が行き渡ってほしいと願っています。

MSFは2015年5月からタンザニアで活動。現在、ニャルグスとンドゥタの両キャンプにチームを派遣している。ニャルグスでは容体安定化のための施設(40床)と3つのマラリア診療所を運営し、心理ケアも提供。ンドゥタでは中心的な医療提供者として、病院(120床)と5つの小規模医療施設を運営するほか、心理ケアも行っている。

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