ナイジェリア:避難民キャンプ爆撃の衝撃――日本人スタッフの証言

2017年01月19日掲載

ランのキャンプで爆撃により負傷した子ども ランのキャンプで爆撃により負傷した子ども

ナイジェリア北東部、ボルノ州ランで2017年1月17日、国内避難民キャンプがナイジェリア軍の爆撃を受け、少なくとも120人が負傷し52人の命が奪われた。キャンプは過激派組織「ボコ・ハラム」の暴力を逃れた人びとが身を寄せていた場所で、国境なき医師団(MSF)は爆撃当時、キャンプ内で予防接種や診療を行っていた。ナイジェリア北東部ではボコ・ハラムの影響で多くの人びとが過酷な避難生活を強いられ、深刻な食糧不足と栄養失調の危機にある。同地域のヨベ州でMSFのプロジェクト・コーディネーターを務める萩原健に話を聞いた。

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生きる糧を奪われ170万人が避難生活に

――現地の状況を教えてください

ナイジェリア北東部3州――ボルノ州、ヨベ州、アダマワ州では、ボコ・ハラムの活動が活発化して以来、多数の国内避難民が発生、国連によると2016年12月の時点で、170万人が家を追われ避難生活を送っています。人びとの多くは農民で、生きる糧である家畜や畑を奪われて着の身着のままで避難。政府や国際機関または非政府援助団体からの援助を命綱に、避難民キャンプや、自ら集落を作って生活しています。粗雑な木端で組んだシェルター、不衛生な水、少ない食料、不十分な医療サービスの中でなんとか生きているのです。

――人びとがもとの暮らしに戻ることはできないのでしょうか

ナイジェリア政府軍はボコ・ハラムに対する掃討作戦によって支配されていた一部の町や村を解放し、避難民に帰還するよう促していますが、現実は、全ての財産を失った避難民が帰還したところで収入源はなく、また治安に対する心配は根強く残っており、帰還は進んでいません。

――医療援助は届いているのでしょうか
避難民に対し支援物資を配るMSFスタッフ 避難民に対し支援物資を配るMSFスタッフ

MSFは、北東部地域の広範囲に点在する避難場所や解放された町で大規模な緊急援助を展開しています。最大の課題の一つは、重度の栄養失調状態にある子どもたちとプライマリ・ヘルスケアです。私たちが拠点としているヨベ州においては、栄養失調改善プログラムを州都の総合病院で行い、周辺地域のヘルスセンターで1次治療を提供、重度の栄養失調患者は集中的に治療をするために搬送をすることで対応しています。また産科医療と、長期間にわたる暴力被害を受けた人びとにメンタル・ヘルスケアも提供しています。

避難民に"安心して眠る場所"はない

――ボルノ州ランで避難民キャンプが爆撃されました

着の身着のままで逃れ、やっとたどりついた先で助けを求めていた人びとを、いかなる理由であれ攻撃し、多数の犠牲者がでたという現実は、傷口に塩どころか辛子をすり込むようなもので、避難民の状況をさらに悪化させる結果となることは間違いありません。この事件は、この地域には避難民が安心して眠れる場所などないということを示唆しています。

また、自爆攻撃の道具として使われたり、空爆の巻き添えになったり、幼い子どもたちが犠牲になっていて、その数はとどまるところを知りません。その現実に、私たち医療・人道援助活動をする者は目をつぶっては通りすぎるわけにはいかないのです。

さらに、一層懸念されることは、今回の空爆により、MSF以外の援助団体が、安全が確保できないとの理由で避難民に対する援助に二の足を踏んでしまう可能性があるということです。MSFにとっても安全確保は必須の重要事項ですが、それでもなお、必要とされる援助が避難民に届けられるよう最大限の努力をしています。

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