シリア:「医薬品の在庫がなくなったら......」――アレッポ包囲地域で爆撃激化

2016年11月18日掲載

爆撃にさらされ、砂袋で防護壁を築いた病院 爆撃にさらされ、砂袋で防護壁を築いた病院

シリア内戦下で政府軍によって包囲されているアレッポ市東部。その地域内で再び激しい爆撃が繰り返されている。稼働している病院8軒はこれまでにも繰り返し爆撃を受けており、施設の損壊や医薬品・医療機器の不足に直面している。

その状態でさらなる攻撃にさらされており、約25万人と推定される住民たち全員の命が危険にさらされている。地域内にとどまって患者の治療を続けている医師に現状について聞いた。

「病院を撃つな!」キャンペーン特設サイトもあわせてご参照ください。

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2時間で負傷者55人が病院に

10月中旬の爆撃で廃虚となった街路 10月中旬の爆撃で廃虚となった街路

11月14日までの数週間、アレッポ市東部の状況は比較的落ち着いていて、軽い砲撃があるくらいでした。それが、15日になると一変しました。爆撃が100回以上も繰り返され、ぞっとするほど多くの人が被害に遭っています。

私が活動している病院には、11月15日の午後1時から3時までのたった2時間で、55人もの負傷者が運ばれてきました。そのうち3人は亡くなり、緊急度の高い患者13人を受け入れました。

そのほかの患者は家に帰すしかありませんでした。かすり傷から手足の負傷や神経系のけがにいたるまで、あらゆる症例が見られます。

できることは限られている

爆撃で負傷した耳の縫合を受ける男性 爆撃で負傷した耳の縫合を受ける男性

大勢が一斉に負傷する事態が発生したときは、病院スタッフは他のことをすべて止めて負傷者の治療に専念しています。その結果、緊急ではない手術は、爆撃が止むか外科医の手があくまで延期となります。

情勢が落ち着いているときは時間をかけて患者の経過を観察できますが、いまのように状況が悪いときは、手術を受けた患者を1~2時間で退院させなくてはなりません。

最も難しいのは頭部を負傷して神経系を損傷した患者です。70~80%は助かりません。

手足を負傷した患者の場合、たいていは他に選択肢がなく、切断することになります。時間も、医師も、手術室も、医薬品も足りません。できることはあまり多くありません。

病院が6ヵ月で6回も標的に

周囲を砂袋で取り囲んで保護している病院用発電機 周囲を砂袋で取り囲んで保護している病院用発電機

11月15日の爆撃では、病院から20mの場所に砲弾が1発落ちました。どうにか直撃は免れました。この病院は6月に1回、7月に2回、9月に2回も標的となり、今回で6回目です。そのたびに数日間、病院を閉め、必要最低限の修繕と片付けをしてから再開しています。

爆撃の対策といってもたいしたことはできません。今年の初夏に病院の下に脱出用のトンネルを掘る作業を始めたのですが、地域が包囲されて建設資材が手に入らなくなり、作業停止に追い込まれました。病院の周りに防護壁を築く作業も進めていましたが、完成にはいたっていません。

発電機は病院から遠く離れた比較的安全な場所に設置していますが、発電機を動かすのに必要な燃料がなくなりつつあります。

医薬品の在庫がなくなったら……

ある病院の10月中旬時点での医薬品在庫 ある病院の10月中旬時点での医薬品在庫

慢性疾患用の薬などはすでに底を尽き、鎮痛剤や抗菌薬などの医薬品も足りなくなっています。

爆撃は激しさを増し、死傷者数がさらに増えています。それに伴って搬送されてくる患者数も増加し、医薬品の在庫がどんどん減っています。目の前に負傷者がいる以上、医薬品をあとのためにとっておくなど不可能です。治療が最優先です。

この病院の在庫状況では、あと10日もつといいほうです。爆撃がさらに激化すると3~4日が限界でしょう。残念ですが、物資がなくなればなにもできなくなります。今はただ、できることをやるだけです。

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