中央アフリカ共和国:治安悪化で人道援助の危機

2013年07月10日掲載

中央アフリカ共和国の情勢が再び不安定になりつつあり、住民はよりいっそうの援助を必要としている。しかし、治安悪化と国際NGOを標的とした攻撃が続き、ほとんどの人道援助団体は撤退または活動規模の縮小を進めている。

国際社会は、援助を必要としている人びとに、緊急救援活動を提供する環境を保証しなければならない。また、人道援助団体や開発援助機関は、活動を縮小するのではなく、むしろ拡大し、緊急・長期的な援助ニーズに対して適切な対策を講じる必要がある。

MSFは1996年に同国で活動を開始。ニーズの増加に伴い規模を拡大している。不安定な社会情勢や強盗などの犯罪事件の続発により、スタッフが一時撤退を余儀なくされたこともあるが、活動を中断したことはない。現在は、カルノー、パウア、ボギラ、ボサンゴア、バタンガフォ、カボ、ンデレ、ブリア、ゼミオの9ヵ所でプログラムを展開している。

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2013年4月までの経緯

バタンガフォの病院でMSFの診察を待つ人びと

反政府勢力連合体「セレカ」が中央アフリカ共和国政府に対する攻撃を開始したのは、2012年12月。翌年1月に和平合意に至ったものの、3月24日のクーデターでセレカが首都バンギを制圧。指導者の1人であったミシェル・ジョトディア氏が大統領就任を宣言した。フランソワ・ボジゼ元大統領は国外へ逃れ、国家治安部隊(軍および警察)は事実上解散した。

中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)は4月18日、チャドの首都ンジャメナで開催された会議で、ジョトディア氏を暫定国家元首として受け入れ、18ヵ月以内の総選挙実施を命じた。また、2008年よりECCAS管轄下にある中央アフリカ共和国平和定着ミッション(MICOPAX)の強化に向け、兵士1500人の追加派遣も容認した。

MSFの治療を受けた患者の証言1――避難中に息子がマラリアに

クパデモナ・アリーネさん

クパデモナ・アリーネです。ベンザンベという小さな村で農業を営んでいました。隠れていたブッシュを後にしたのは、3歳の息子、ゴニトゥア・グレースを病院に連れていくためです。

内戦中はブッシュに避難しましたが、ひどい環境でした。木の下で暮らしていたので蚊や蛇に脅かされていました。清潔な水はおろか、食糧もあまり手に入りませんでした。皆、常に体調が悪く、特に子どもと妊婦の状態が悪いようでした。

MSFがベンザンベ村に毎週来ているということは、人づてに聞いたのです。私には薬を買うお金がないので、息子を診てもらうことにしました。マラリアに感染していると医師に言われました。ここで治療薬をもらえるのでありがたいです。指示に従ってきちんと薬を与えています。早く回復してくれることを願っています。

MSFの治療を受けた患者の証言2――HIV治療が中断、不安な日々

クリスティーヌ・ヤトゥングさん

クリスティーヌ・ヤトゥング、46歳です。2006年にHIV陽性であると診断されました。この国を揺さぶった一連の出来事のずっと前から、抗レトロウイルス薬(ARV)治療を始めていました。

セレカがボサンゴアの町に攻め込んでくると、皆、ブッシュの奥へ避難しました。そこに3ヵ月間隠れていましたが、私は薬を持っていませんでした。いつも体調が悪く、不安でした。でも、MSFが無償の医療サービスを提供していると聞いたので、隠れ場所を後にし、町に戻りました。

MSFが来てくれて本当に良かった。セレカは病院を破壊し、略奪していったのです。何も残っていなかったので、治療を続けられなくなるのではないかと心配していました。でも、こうして薬を手に入れることができます。早く健康を取り戻し、子どもたちの面倒をみてあげたいです。