七夕に願いをこめて――世界の活動地から届いたお願い事

2016年07月07日掲載

世界各地で活動を行うMSF日本の派遣スタッフから、患者さんたちや自身のお願い事が届きました。暮らしている国や文化は違えども、我が子や友人への愛情は万国共通です。

年に一度、星に祈りを捧げる七夕の今日、医療援助を必要とする人びとの置かれている状況に思いをはせてみませんか?

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「赤ちゃんが健康に生きていけますように」――サンシル・ボーレーンさん(27歳)

ハイチでは、93%の妊婦が妊娠中に1回しか妊婦健診を受けていません。全人口の80%が貧困層であり、1日1ドル以下で生活しています。

人びとは今日を生きることに必死で、妊婦の健康診断は後回しになってしまうのでしょう。そのため、合併症や妊娠中の異常を発見することが難しく、切迫早産、けいれんや重度の妊娠中毒症で運び込まれるケースが珍しくありません。

ボーレーンさんの第3子となる赤ちゃんは32週1350gという未熟児で生まれました。出生後、9日目からカンガルーケアを開始。母親と赤ちゃんの肌が直接触れ合うことで、未熟児で失われがちな体温を十分に保つことができ、母親との愛着形成も高まるうえ、母親の母乳分泌促進にも効果があります。

「女の子なの。強くたくましく生きてほしい」と話すサンシルさん 「女の子なの。強くたくましく生きてほしい」と話すサンシルさん

ハイチの女性たちの日常着でもあるチューブトップをカンガルーケアにも応用しています。ずっとベッドで寝ているだけでなく、このようにチューブトップを着てすっぽり包むことでちょっとした活動をすることもできるのです。

(ハイチで活動中の菊池紘子看護師より)

「大泉門(頭蓋骨のすき間)がはやくふさがりますように!」――イノセント君(仮名、3カ月)の母親

写真の赤ちゃんの頭のてっぺんにちょこんと乗っかっているアズキ大のもの、実は初めて出たうんち(!)なのです。これは、コンゴ民主共和国の一部地域に伝わるおまじないです。

もともと赤ちゃんは狭い産道を通るために頭蓋骨が一つの骨ではなく、いくつかの骨に分かれて生まれて来ます。そのため頭のてっぺんには大泉門という脳が骨で覆われていない「すき間」があります。大泉門は1~2年かけてゆっくりふさがっていくのですが、お母さん達からすれば「転んでぶつけたりしないかしら?」と心配の種。一刻も早くふさがってほしいのです。

新生児の額の上に乗せられたものは…… 新生児の額の上に乗せられたものは……

そんなお母さんの心配を紛らわしてくれるおまじないがこちら。赤ちゃんの生まれて初めてのうんちをちょっぴりだけ丸めて頭のてっぺんにつけておくと、大泉門が早くふさがる、と信じられているのです。

我が子を案じる気持ちは世界共通♪何とも微笑ましい願い事でした。

(コンゴ民主共和国で活動中の吉野美幸・外科医より)

「現地の友人に笑顔で再会できる日が来ますように」――MSF医師

紛争下にあるイエメンでは、一般市民が日々、空爆の危険にさらされながら暮らしています。病院にやってくる患者の半数以上は紛争により負傷した患者で、多くの負傷者が一斉に搬送されてくるマスカジュアリティーも起こっています。市民はより安全な場所を求め、住み慣れた家を出て別の場所へ避難しています。

私は今年3月に活動期間を終えて帰国しましたが、MSFのプロジェクトで働くイエメン人スタッフたちは故郷にとどまり、医療援助活動を続けています。通訳のナビールは、イエメンのすばらしい歴史や自然を熱心に語り、この国が「ほほえみのアラブ」と呼ばれていると教えてくれました。

患者さんと、ともに働いた現地の研修医(左) 患者さんと、ともに働いた現地の研修医(左)

戦闘が続き、医療施設も攻撃の対象となるなど、状況は厳しいままですが、少しでも早く、この国がその名にふさわしい国に戻り、誰もが普通に入国して家族や友人に再会できることを祈っています。

(イエメンで活動した塩澤幹雄・外科医より)

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