チャド他: 湖畔地域で繰り返される戦闘と避難――MSF、住民への援助を拡大

2015年11月27日掲載

襲撃と応戦の連鎖が続いているチャド湖畔地域 襲撃と応戦の連鎖が続いているチャド湖畔地域

チャドの湖畔地域では、武装勢力「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」(通称「ボコ・ハラム」)による襲撃が相次いでいる。各国政府軍がこれに応戦し、地域住民の集団避難がさらに増える状況となっている。

チャドのほか、ナイジェリアカメルーンニジェールにも影響が及び、これまでに計250万人が住まいから追いやられた。国境なき医師団(MSF)はこの4ヵ国で医療・人道援助を拡大している。現地を視察したMSFオペレーション・ディレクターのジャン=クレマン・カブロル医師に状況を聞いた。

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襲撃と応戦、人びとを苦しめる暴力の悪循環

栄養失調でMSFの診察を受ける赤ちゃん 栄養失調でMSFの診察を受ける赤ちゃん

チャド湖畔地域は、人道上の著しい危機が広範囲にみられます。人びとは暴力を逃れ、国外脱出や自国内での避難を繰り返しています。ボコ・ハラムの襲撃だけでなく、各国政府軍の応戦が原因で避難している人も大勢います。民間人を巻き込む暴力の悪循環が起きているのです。

地域内には保健医療施設が少なく、散在しています。必要な医薬品と機器が不足したり、医療スタッフが避難してしまったりして、施設が閉鎖されてしまった地区も複数あります。その結果、住民が救命医療を受けられなくなっています。

避難者の生活環境は、仮設住居も仕事もなく、極めて不安定です。繰り返される紛争で農作物が収穫できず、食糧価格が高騰しています。もとより基礎的な公共サービスが不十分だった地域で、それに拍車がかかっています。

避難者の受け入れ先も限界、MSFが援助へ

MSFがカメルーン北部で運営している診療所 小児科、栄養治療、外科の機能を備えている MSFがカメルーン北部で運営している診療所
小児科、栄養治療、外科の機能を備えている

MSFはチャド湖周辺の4ヵ国で、難民・国内避難民と受け入れ地域の住民を対象とした医療・人道援助を行っています。各国の保健省と連携し、基礎医療、小児科・栄養分野の支援、心理面の支援、外科処置、負傷者・暴力被害者の治療などを提供しているのです。また、清潔な水と救援物資も配布しています。

ただ、どうしても接触できない人も多く、一部の場所では援助ニーズすら把握できていません。特に自国内で避難している人の多くは、受け入れ先の地域で分散してしまい、接触が困難です。こうした難しさもあるものの、MSFは医療を届けることに力を注いでいます。受け入れ先の住民も限られた資源で生活しているため、避難者への協力が日に日に難しくなっています。彼らもMSFの援助対象です。

特徴的なことは、人びとを取り巻く強烈な恐怖です。市場、宗教的な場所、学校などあらゆるところで襲撃が起きています。避難者は今も帰宅をためらい、様子をうかがっているようです。その先行きは不透明で、唯一確かなことは、しばらく帰宅は望めず、不安の中の生活が続くだろうということです。

MSFはチャド湖周辺の4ヵ国で活動を続けている。ナイジェリアでは、北部のボルノとヨベの2州で避難者と受け入れ地域の住民に基礎医療を提供している。カメルーン北部のミナワオ、モラ、モコロ、クッセリでは医療施設を運営。チャドのバガソラとボル、ニジェールのディファ県でも救命医療援助を展開している。

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