アフガニスタン:MSF外傷センター爆撃、国際的な第三者機関による完全で透明な調査を

2015年10月06日掲載

アフガニスタンのクンドゥーズ州で国境なき医師団(MSF)が運営していた外傷センターへの爆撃について米国が10月5日に出した見解に対し、外傷センターでの活動で中心的な役割を担っていたMSFベルギーのクリストファー・ストークス事務局長が声明を発表した。

「米軍は責任を免れません」/クリストファー・ストークス

米国政府は、アフガニスタン・クンドゥーズ州のMSF外傷センターを爆撃し、患者・スタッフ合計22人の命を奪ったことを10月5日に認めました。この爆撃に関する米国政府の説明は二転三転し、当初は付随的な被害、次に悲劇的な事故と呼び、そして現在はアフガニスタン政府に責任を転嫁しようとしています。ただ、米国による爆撃であることは事実です。

米国は、大勢の負傷患者とMSFスタッフがいた外傷センターを攻撃しました。米軍は攻撃の標的に対する責任を免れません。たとえ、それがアフガニスタン政府との連携の一環であってもです。今回の恐ろしい攻撃は正当化のしようもありません。米国とアフガニスタンの談話に度々矛盾が生じるようでは、透明性の確保された徹底的な調査の必要性は高まるばかりです


「クンドゥーズからの撤退は痛恨の極み」

MSF日本には現在、他のMSF事務局と同様、報道関係者や一般の方々から多数の質問が多数寄せられている。

MSF日本のジェレミィ・ボダン事務局長は、「アフガニスタン政府や米国政府からの公式な謝罪はない」とした上で、クンドゥーズ州からMSFが撤退せざるをえない状況となったことについて「痛恨の極み」と述べた。寄せられた主な質問と回答は下記の通り。

外国人スタッフの死傷者はいますか。

今回の爆撃でスタッフ12人が命を奪われ、19人が負傷しました。いずれもアフガニスタン人でした。外国人スタッフは爆撃後、首都カブールに避難しました。

爆撃を受けた外傷センターは今も運営されていますか。

10月3日未明の連続爆撃で破壊され、運営を停止しています。重体患者は全員、他の医療施設に搬送しました。命を取り留めたアフガニスタン人スタッフも全員、外傷センターを離れました。周辺の医療施設で治療を受けているスタッフもいます。

爆撃の当日、数名が地域のMSF以外の施設で医療業務の補佐にあたりました。また、数名がこの痛ましい出来事に際し、家族のもとに帰ったとの報告を受けています。外傷センターは目下、医療活動のできる状態ではありません。膨大な医療ニーズがあるにもかかわらずです。

外傷センターに対する意図的な攻撃だったと考えていますか。

それを知る術はMSFにはありません。だからこそ、この悲しい出来事が、国際的な第三者機関による透明性の確保された徹底調査の対象となるよう求めています。また、調査結果も公にされるべきであり、MSFはその結論だけでなく、調査報告の全面開示を求めます。

今回の爆撃は戦争犯罪といえるでしょうか。

MSFは戦争犯罪だと認識し、国際的な第三者機関による完全で透明な調査を求めています。紛争当事者による内部調査だけでは、全く不十分でしょう。

アフガニスタン政府または米国政府から謝罪はありましたか。

爆撃後、公式の連絡や謝罪はありません。

爆撃した当事者は「タリバンがこの外傷センターを拠点にしていた」と主張しています。

全く事実無根です。外傷センターはMSFスタッフと患者と、その付き添いの人びとでいっぱいでした。12人のMSFスタッフと、子ども3人を含む患者10人が、今回の爆撃で命を奪われています。繰り返し申し上げますが、医療スタッフが患者の治療にあたっていた主要病棟が複数回にわたり非常に正確な空爆を受けながら、敷地内の他の施設は大部分が無傷だったのです。

MSFのクンドゥーズの活動は継続されるのでしょうか。

2015年9月28日にクンドゥーズで激しい戦闘が起きて以来、MSFは押し寄せる負傷者に対応するため、通常のベッド数92床を150床まで増設しなければなりませんでした。その週のうちに、394人の負傷者を治療しました。スタッフは24時間体制で、膨大な医療ニーズに応じていました。

それこそが、MSFがここにいた理由です。治療の必要な人であればそれが誰であろうと、徹底した公平性と医療倫理の原則を守り治療するためです。クンドゥーズの人びとにとって、外傷センターの存在はいつにも増して必要性が高まっていました。恐ろしい爆撃による人命の喪失という悲劇に加え、クンドゥーズの人びとがこの時期に外傷治療の機会を失ったことは、痛ましい限りです。

医療ニーズがこれほど切迫している今、撤退はMSFにとっても痛恨の極みです。しかし、爆撃の影響が残る間は、医療活動が継続できる状況か否かの判断ができません。

MSFはクンドゥーズをはじめとする紛争地域で、いずれの陣営に対しても、医療提供の場を決して侵さないよう懸命に働きかけてきました。しかしクンドゥーズでは、現時点では活動が再開できるとの確信を持てる説明や保証は一切得ていません。

だからこそMSFは、今回のいきさつと原因に関する、国際的な第三者機関による透明で徹底した調査を求めているのです。それが解明されなければ、あまりにも多くの不明点が残り、近い将来の活動再開に踏み切ることはできません。MSFの大きな気がかりはクンドゥーズの人びとです。重要な疑問が解消され次第、現地での医療活動再開の検討を開始します。

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