ウズベキスタン:MSFと保健省の連携で結核治療が進展

2015年08月18日掲載

MSFの医療コーディネーターを務めるタチアナ・ピリペンコ MSFの医療コーディネーターを務める
タチアナ・ピリペンコ

ウズベキスタン内に位置するカラカルパクスタン自治共和国の首都ヌスクで、国境なき医師団(MSF)は1998年から、保健省と連携して結核対策に取り組んでいる。通常の結核対策から始まったこの取り組みは、薬剤耐性結核や小児結核も対象に含めるまでに進展した。

この活動で2014年から医療コーディネーターを務めるタチアナ・ピリペンコはウクライナ出身の看護師で、MSFでの活動歴は10年以上に及ぶ。タチアナ・ピリペンコはウクライナ出身の看護師だ。MSFでの活動歴は10年以上にわたる。ピリペンコにMSFの取り組みの現状と今後について聞いた。

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MSFがカラカルパクスタンで活動を開始したのはいつですか。

ピリペンコからおもちゃを受け取る小児結核の子どもたち ピリペンコからおもちゃを受け取る
小児結核の子どもたち

MSFは1998年からカラカルパクスタンで、保健省と連携して結核対策に取り組んでいます。 通常の結核の診断・治療プログラムからスタートし、現在では小児結核や薬剤耐性結核(DR-TB)も対象としています。

カラカルパクスタンにいるすべての結核感染者が、診断と治療を受けられる体制となっています。治療中の患者は約2000人。結核治療プログラムへの登録者には治療薬を無償で提供しています。

活動にはどのような課題がありますか。

最大の課題は、患者が治療を完了するとは限らないということです。特に、結核菌が複数の治療薬に対して耐性をもってしまった多剤耐性結核(DR-TB)では、治療期間が長くさまざまな困難があることから、患者の約25%は治療を中断してしまうのです。

MSFは患者自身が治療方針の決定に積極的にかかわり、その治療法を実践するという「アドヒアランス」の考え方を発展させる方向で努力を続けています。そこで、患者のもとにカウンセラーを派遣し、健康教育や心理・社会面の支援を行っています。

また、(治療が原因で就職できないなど経済的に苦しい立場にある患者には)食料品を提供するなどの対策も行っています。残念ながら、それでも治療を中断して「経過観察不能」となってしまった患者の数は減っていません。

アドヒアランスを向上させる方法は、治療期間を短縮すること、治療薬の数を減らすこと、経口薬の使用を徹底して激痛の注射をやめることです。MSFと保健省は2013年から短期治療の研究を行っています。(DR-TBの)治療には2年かかっていたのですが、これを9ヵ月に縮めようと取り組んでいます。これまでに146人が参加し、初期段階での結果は好感触です。最終報告は2016年に発表する予定です。

結核プログラムではどのような成果が出ていますか。

ここ数年で治療環境の大きな変化がありました。通常の結核の患者は、3ヵ月の入院が不要となり、通院治療で対応できるようになりました。検査方法も進歩しています。迅速診断検査機器「Gene Xpert」を導入してからは、数日から数週間かかっていた検査結果が数時間で出るようになりました。これにより、治療を素早くはじめられるようになっています。

2015年6月には、新薬「ベダキリン」を導入しました。これは、DR-TBの中でも最も深刻で、ほぼすべての治療薬が効かなくなってしまった「超多剤耐性結核(XDR-TB)」の患者の治療用です。新薬の導入で、XDR-TBの患者の生存率が高まると期待されています。MSFはカラカルパクスタンにベダキリンを導入した最初の団体です。

MSFは結核対策で何を目指していますか。

プログラムの主目的は、治療期間の短縮、治療薬の数を減らす、副作用の軽減などを通じてDR-TB患者の治療結果を改善することです。また、小児結核の診断・治療の改善を担ってもいます。子どもでも飲みやすい治療薬にするために、複数の薬剤を調合する「合剤化」計画にも着手する予定です。

合剤化(薬剤を混合して子どものニーズにあわせた調合薬を作ることで服用を容易にする)も2ヵ月以内に始める計画です。

活動ではどのようなことにやりがいを感じていますか。

結核対策プログラムに長年かかわり、その発展を目にしている点です。チームの努力とMSFと保健省によって発展してきたのです。当初は、結核治療を望んだ患者がMSFの活動地に引っ越してきていました。でも、長期にわたって家族と離れる入院生活に耐え切れず、治療を中断した人も多かったのです。また、治療を受けることもできないまま亡くなった人びともいました。現在は、すべての患者が自宅のある地域で治療を受けられます。

また、このプログラムには経験豊かで意欲的な現地スタッフも参加しています。こうしたプロフェッショナルなチームの一員として、援助が必要な人びとに手を差し伸べられていることが私の喜びです。

結核に感染した人への助言をお願いします。

結核の治療を受けることは、自身の命が助かるだけでなく、友人や家族への感染を防ぐことにもつながります。覚えていてください。結核には治療薬があり、結核は治るのです。

通常の結核であれば治療は6ヵ月で、副作用が出ることもまれです。DR-TBの治療は現状では2年ほどかかり、副作用も増えますが、回復する見込みは十分にあります。もし「結核かもしれない」と感じたら、できるだけ早く医師の診察を受けてください。そしてどうか、決してあきらめないでください。結核は打ち負かせるのです。

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