ネパール: 震災から1ヵ月、被災地の状況は?

2015年05月26日掲載

MSFのアン・テイラー活動責任者 MSFのアン・テイラー活動責任者

ネパール大地震の被災地で、国境なき医師団(MSF)は仮設のテント病院の設置や移動診療を行い、被災者に医療・人道援助を提供している。2015年4月25日の本震に続き、5月12日は同規模の大きな揺れが再び被災地を襲った。ネパールでMSFの活動責任者を務めるアン・テイラーに、2度目の地震以降、MSFがどのように被災者の援助を展開しているか話を聞いた。

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被災地の現状はいかがでしょうか。

MSFがアルガトに設置したテント病院中央はMSF日本から派遣した白川優子看護師 MSFがアルガトに設置したテント病院
中央はMSF日本から派遣した白川優子看護師

ほぼ毎日、揺れています。みんな余震を恐れています。本日、活動を予定しているカトマンズ整形外科病院を視察しました。病院の建物内には患者がおらず、全員が屋外に出ていました。震災で負傷して整形外科手術を受けた人たちですが、病院内ではなく外のテントで"入院"したいというのです。

テントに入りきらず、ビニールシートや日よけネットの下に置かれたベッドで横たわっていた人もいました。そこで、MSFはすぐにテントを提供しました。5月末には、患者50人を収容できる大型テントを2張設置し、ベッド数70床のテントをもう1張追加する予定です。

カトマンズ整形外科病院には手術室があり、震災後も機能しています。しかし、誰も中に入ろうとしません。余震に備えて手術は屋外で行われています。病院敷地内に特設テントを張り、その下で手術するのです。

ここでの活動の中心は術後ケアです。理学療法士が身体機能回復を支援しています。今後は理学療法用に特設テントを張り、心理療法士が心のケアを必要とする震災被災者の支援を開始する予定です。

地震への恐怖は広がっているのでしょうか。

震災後に体調を崩して寝込んでしまったウルパさん夫のラムシンさんが付き添い、MSF病院に入院している 震災後に体調を崩して寝込んでしまったウルパさん
夫のラムシンさんが付き添い、MSF病院に入院している

ええ、ショックを受けた人が多く見られます。2度目の地震ではパニックが起きました。家の中にいた人や建物の近くにいた人は、建物の中に留まるほうが危険だということを、身をもって知ったからでしょう。

ゴルカ郡アルガトでは、多くの家屋が深刻な被害を受けました。それでも残っている壁もありましたが、亀裂が走り、崩れる危険性があります。

MSFはさらにどのような援助ができるのでしょうか。

アルガトのMSF病院で治療を受けヘリで村に帰還した被災者の男性 アルガトのMSF病院で治療を受け
ヘリで村に帰還した被災者の男性

山岳地帯の孤立した村では、援助をほとんど受けられていない住民がいます。負傷者は政府の軍隊によって病院に搬送されました。多くの道路は寸断され、ヘリコプターだけが標高の高い村に行く手段となっています。

5月21日にはロジスティックチームがアルガトに到着し、衛生用品キット(バケツ、石けん、タオル、洗剤など)を配布しました。このチームには医療チームが同行しており、診療を予定しています。また、孤立した各村をまわる予定です。

衛生用品キットを届けるにあたってはヘリを数回往復させています。この2班が孤立した村を回って行く予定です。テント、毛布、貯水容器の配布も行います。この辺りでは、全戸数の8割以上が損壊しています。人びとは野外で生活しているため、仮設住居が必要です。モンスーン(季節風)が近づいているので急がなくてはなりません。

ヘリコプターを活用することで、患者をアルガトのMSF病院(20床、5月8日設置)に移送することができます。この病院には、手術室、陣痛分娩室と緊急処置室を備えています。ただ、交通はまだ復旧しておらず、患者にとってはかなりの困難を伴います。

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