ペルー地震:緊急コーディネーターへのインタビュー

2007年08月28日掲載

ルイス・エンシーナスは、国境なき医師団(MSF)の緊急コーディネーターであり、8月15日(水)にペルー沿岸部を襲った大地震の被災者に医療ケアを提供するため、緊急援助チームを統括している。8月18日(土)には12トンの救援物資を積んだMSFの貨物チャーター機が現地に向け出発した。MSFの活動状況と自らが現場で感じた第一印象について、エンシーナスは次のように話す。

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被災地に到着した際、まず最初に目の当たりにしたものは何でしたか?

ピスコで初めに受けた印象は、まるで爆発の被害を受けた地域を見ているかのようでした。人びとは混乱状態のなか、呆然として通りをさまよっていました。基礎的な公共システムが全く機能していませんでした。ピスコ、チンチャ、イカなどの最も大きな被害を受けた地域では、50~90%の建物が破壊されました。4つの病院が瓦礫となり、その他の4つの病院も深刻な被害を受けました。これまでに約400回の余震が記録され、そのうちの数回はマグニチュード5.5以上に達しています。

人道援助団体が到着してから、まず直面した主な問題点は何でしたか?

被災地へ通じる道路が大きな被害を受けていました。例えば、幹線道路のパンアメリカンハイウェイの数ヵ所はほぼ崩壊していました。私たちがリマからピスコまで行くのに、通常の3倍の時間がかかりました。混乱状態は徐々に収まりつつあるとはいえ、人道援助はまだ周辺地域まで届いていません。

MSFが今後予定している活動内容はどのようなものですか?

MSFはまず8月18日に、ボゴタから12トンの救援物資を積んだチャーター便を手配し、私がコーディネートしている緊急チームを組織しました。被災地で行った最初の調査の結果を受けて、まだ援助が届いていない最も孤立した集落で重点的に活動を行う予定です。また、被災者のための医療や心理ケアも提供する予定です。MSFが医療を提供している地域は、ピスコの東部のウマイとインデペンデンシアを結ぶ道路沿いで2万人~2万5千人が暮らしています。

これまでのところ、ウマイでは7千人に対して毛布、衛生用品キット、住居用の資材の配布を行いました。また、必要があれば素早く対応できるように、水・衛生設備の調査も行っています。他の人道援助団体はまだこの地域では活動を始めておらず、医療物資や薬が不足しています。人びとの心の傷も大きな問題です。心的外傷を軽減し、最も緊急性の高い心理ケアのニーズに応えられるよう、MSFは心理ケアプログラムを立ち上げています。医療・心理ケアは既存の診療所や移動診療所でも提供していく予定です。また、呼吸器感染症、皮膚疾患、外傷に対する薬も提供しています。ピスコでは、地震により大きな被害を受けた人びとに対する心理ケアを重点的に行っており、水・衛生設備に関しても現地の関係者と協力して活動を行う予定です。

現在、人びとが直面している主な危険は何ですか?

このような災害が発生した時、最も弱い立場に置かれるのは常に子どもです。子どもたちは呼吸器感染症に感染し、深刻な影響を受けています。ウマイに近いモンテシエルペで行った簡易調査では、呼吸器感染症に感染している子どものうち約15%が重度の合併症を発症していることが判明しました。外傷、皮膚病、眼科感染症などが重症化する危険もあります。心の傷も大きな問題となっており、長期的に深刻な被害が出ることを防ぐには、緊急段階の援助に引き続いて迅速に対応する必要があります。

他の緊急援助活動にも参加した経験を踏まえて、今回の地震で注目した点は何ですか?

人びとに関して最も驚いたことは、この地域の住民たちの心に深く根ざした強い共同体意識です。70才を超えた人びとが、お互いの身を守るために屋外で交代の夜警をしていました。彼らは地震で全てを失いながらも、他人を手助けする余力は失っていませんでした。広範囲にわたる地震による大被害の中で、被災者たちが自発的に組織立って行動している様子は印象的でした。

チーム構成を教えてください。

私たちのチームは現在、海外派遣スタッフ12人と現地スタッフ12人で構成され、その内訳は医師、心理療法士、看護師、ロジスティシャン(物資調達管理調整員)、水・衛生の専門家、それに運転手です。活動は2ヵ月間にわたって行うことを計画しています。

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