タジキスタン:"家庭内結核"の現実――MSFが治療プログラムを提供

2012年10月22日掲載

タジキスタンのマチトン病院で、国境なき医師団(MSF)が運営している薬剤耐性結核(DR-TB)病棟に、やせていて、好奇心の強そうな目をしたザファル君(12歳、仮名)が入院している。MSFは同国で初めて、子どものDR-TBの治療を提供している。

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家族が相次いで結核に……

病室に入ると、ザファル君は急いで外科用マスクを装着した。タジキスタンの結核治療施設の中には、保健医療従事者であっても、マスク着用などの感染抑止策を実践していないケースがある。しかし、国境なき医師団(MSF)の運営する病棟では、そうした"習慣"は見過ごされない。

ザファルくんの兄弟は結核で亡くなっており、2012年1月には母親が多剤耐性結核(MDR-TB)で亡くなった。ザファル君は以前にも結核の治療を受けたことがあるが、治療がうまくいかず、3ヵ月前に熱・空咳・体重低下が見られて入院した。

検査分析のための喀痰(かくたん)がうまく吐き出せない子どもが多いが、ザファル君は検査に適した痰を出せた。結果は、MDR-TBだった。

治療は順調、「早く妹とサッカーしたい」

多剤耐性結核(MDR-TB)でMSFの治療を受けている少年 多剤耐性結核(MDR-TB)でMSFの治療を受けている少年

ザファル君の治療は順調だ。体重が増えた。関節の痛みや下痢といった多少の副作用はあったものの、薬も許容できている。片方の肺が大きく損傷しているが、いまは息切れもなく、またスポーツができる日を心待ちにしている。

治療について聞くと、ザファル君は活き活きと、毎日の投薬を指折り数え挙げる。「白いのが3錠、黄色いのが2錠、赤いのが1錠、茶色のカプセルが2つ、顆粒薬の包みが1つ、注射が1回」

明日は病院の医療スタッフの間で、ザファル君が帰宅し、院外患者として治療を続けられる程度に回復しているかどうかの判断が下される。ただ、ザファル君の祖母と父親は不安を抱いている。帰宅という判断になれば、MSFが必要な薬すべてを提供し、MSFの訓練を受けた地元の看護師が毎日、薬の服用や注射と経過観察に訪れる。

祖母は、看護師の指導を受けることに賛成だ。「完全に治るまで経過観察が必要ですから。食事もするように注意してもらわないといけません。パソコンと携帯電話に夢中で……」と話す。MSFの看護師、シンディ・ギブが答える。「無理もないですよ。なにしろ12歳ですから」

祖母の話のとおり、ザファル君は携帯電話で撮った妹の写真を見せ、「早く妹とまたサッカーができるようになりたいです」と話してくれた。

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