南スーダン:新たな危機、知られざる危機

2013年03月11日掲載

南スーダンは2011年7月に独立した"若い国"です。この国は今、2つの大きな危機を抱えています。1つはスーダン国内の紛争を逃れてきた難民の急増、もう1つは繰り返される部族間抗争による被害です。こうした地域の人びとにとって、人道援助は生きる上での唯一の支えとなっています。

国境なき医師団(MSF)は現在も、同国内の難民キャンプや複数の活動地で、医療・人道援助活動を行っています。

スーダン人難民キャンプの危機

南スーダンにおけるMSFの難民緊急援助活動 クリックして拡大

現状

5ヵ所の難民キャンプに約17万人が滞在。MSFは全てのキャンプに駐在し、それぞれのニーズに合わせ、必須医療や給水活動を行っている。各キャンプでの詳しい活動はこちら

新たな危機

上ナイル州内のすべての難民キャンプで、E型肝炎の流行を確認。劣悪な給排水・衛生環境が原因となっている。キャンプ内では清潔な水が不足し、使用に耐えるトイレや手洗い場も数が限られている。

感染したマリアムさんの夫の話

「妻は体中が熱くなり、うめき続けていました。目は黄色く、尿が赤くなりました。妊娠もしていたので、病院に連れて行きました。しかし、何にも反応しなくなり、ただ横たわっているだけでした。そして……」(妊娠中にE型肝炎……難民キャンプに新たな危機

MSFのマールテン・デッカー医師の話

デッカー医師の診察を受ける患者

「多くの関係者がE型肝炎に対する理解を深めようと努めています。MSFの医療スタッフが世界中から集まり、ここで最善の対症療法を行うための『作業プロトコル』を作成しています」(「中途半端な治療しかできない」――E型肝炎/医師の苦悩

E型肝炎とは?

ウイルス感染による肝臓疾患で、急性肝不全や命に関わる症状を引き起こす。特に妊婦の死亡リスクが高く、平均値の10倍に達する。感染経路はコレラに似ており、不衛生で水の汚染されている環境で流行する。根本的に治療する療法はなく、行えるのは対症療法のみだ。

ジョングレイ州の危機

現状

南スーダンが独立した2011年7月以降も、部族間の激しい抗争が繰り返され、大勢の住民が犠牲となっている。家を離れてブッシュに逃げ込んでいる人も多く、その全体数は把握できていない。人びとは襲撃を恐れて病院に行くことをためらっており、マラリア、肺炎、栄養失調、下痢などの治療可能な病気や、出産で命を落とすことがあるほど深刻な事態となっている。

住民とともに避難したMSFのデービッド・ブド准医師

MSFのブド准医師

「避難を決めたのは、銃撃戦が始まった時でした。おびただしい遺体を見て、私たちはおびえきっていました。『ここに残っていたら殺されてしまう。ブッシュの中なら隠れられる場所を知っているから、逃げた方がいい』と妻に言いました」

MSFの活動

ジョングレイ州内のピボール、ウロル、ニロールの各郡に診療所を開設し、1次・2次医療を提供。戦闘に巻き込まれた人びとへの救急医療も行っている。外科手術が必要な患者は、州外のMSFの医療施設、ボマ病院、ジュバ医学校付属病院へ搬送している。

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