世界トイレの日:たかがトイレ、されどトイレ――国境なき医師団とトイレの関係

2016年11月19日掲載

11月19日は「世界トイレの日」です。
みなさんトイレは好きですか?日本のトイレというと、暖かい便座だったり、ウォシュレットがあったり、自分だけの空間になったり。好きでも嫌いでも、老若男女毎日何度も赴く場所だと思います。世界約70カ国で活動する国境なき医師団(MSF)は、トイレにまつわるさまざまな問題に日々直面しています。何百人もの人と1つのトイレを共有しないといけない?トイレ自体が感染症の温床になる?日本人スタッフは派遣先でトイレとどう向き合っている?トイレのあれこれを、クイズとスタッフのエピソードでご紹介します。

MSFフィールドトイレクイズ

トイレその1@モーリタニアのムベラ難民キャンプ(2012年6月)

2012年に始まったマリ北部での紛争から避難してきた人びとが身を寄せる、ムベラ難民キャンプ。この写真が撮影された2012年6月時点で、同キャンプに滞在する難民は6万7000人、トイレは400基だった(約168人に1基)。人道的とされている水準は20人に1基。マリ国内では一部の反政府武装勢力が和平協定に調印したが、人びとは今も帰国に不安を感じている。

トイレその2@南スーダン、マラカルの国連文民保護区域(2016年6月)

トイレ脇で泥と尿が混ざるそばを歩く女性。激しい内戦から避難して来た3万2000人が暮らす、国内でも最も人口密度の高いマラカルの国連民間人保護区域。ここでは、1人あたりの専有面積は9平方メートルで、国連基準の30平方メートルを大幅に下回る。排水設備がないためマラリアやコレラなどの健康リスクも深刻となっている。

トイレその3@洪水後のパキスタン、シンド州(2012年11月)

仮設トイレを建てるため、掘削した穴の寸法を確認するMSFの水・衛生管理専門家。このキルタル運河沿いは、周辺の村で洪水の被害に遭った人たちの避難先になっていた。「水・衛生管理専門家」は、上下水道システムの設計や衛生管理を担当するスタッフのこと。安全で清潔な水の供給は、医療プログラムに欠かせない。

トイレその4@エボラが流行したコンゴ民主共和国、赤道州イトゥク(2014年11月)

エボラ出血熱の感染制御のため、民家の裏庭のトイレを消毒するMSFスタッフ。2014年末から猛威をふるい西アフリカで大流行したエボラ出血熱。感染力の強い感染症のため、MSFは感染が確認された患者の家や村をたどり消毒する活動も行なった。

トイレその5@ナイジェリア、ボルノ州(2016年8月)

武装勢力「ボコ・ハラム」による襲撃が続く、ナイジェリア北東部のボルノ州。この女性は幼い子どもを連れて避難し、病院のトイレにたどり着いた。この病院はいま、建物全体が国内避難民の宿泊所として使用されている。


海外派遣スタッフも驚いた!トイレ事情3連発

医療援助活動の現場ではトイレが問題のひとつに挙げられることも多くあります。また、スタッフ自身も現地で生活する中でトイレにまつわるさまざまな困難や驚きに直面します。そのごく一部をご紹介!

  • お食事中の方は閲覧お気をつけください。

手桶で流すタイプのよくあるトイレ。ただし雨の日は傘持参!?

助産師の徳間美紀は2009年、エチオピアでリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関するプロジェクトに参加。そこで出会ったのは、一見MSFのフィールドでよくある手桶(写真上部のオレンジのもの)で流すタイプの"和式"トイレ。でもよくよく見ると……屋根がない!雨が降ったら傘を持って用を足すのでしょうか?「私が行っていた時期は乾季だったので、なんとか傘の出番はありませんでした。あと、開放感は抜群です。ただ屋根がないことよりも、私としてはゴキブリとの毎日の戦いがつらかったです!」

この穴に!?テクニックを求められる用足し

物資調達や衛生管理など幅広い業務を行なうロジスティシャンは、活動先でトイレの設置を担当する"トイレのプロ"でもある。フィールド経験豊富なロジスティシャンの落合厚彦は予防接種キャンペーンのために派遣されたナイジェリアの現場で、あるトイレに案内された。中に入ってみると直径20センチほどの穴が一つ(写真の白と青の部分)。もしかして……「それがトイレの"便器"だったのです。命中できるかな!?と一瞬不安になりましたが無事成功させることができました。思わず写真も撮ってしまいました」。落合いわく、トイレ事情は現地の文化と密接に結びついているので、MSFが新たに設置する際は便座の形状や向き、ドアの位置など、そこに住む人びとの意向を汲むようにしているそう。

屋外トイレと深夜の静かなる格闘

看護師の上平明美(写真はインドネシアでの活動時)は2011年、エチオピアで緊急栄養プロジェクトに参加。この時、普段は丈夫なお腹をひどく壊した夜があった。宿舎のトイレは外に設置された汲み取り式。便意の波が定期的に訪れるのでトイレ近くの草むらに体育座りしてその時を待っていたが、寒いしお尻も冷えてつらい!そこでマットと毛布をトイレのそばに持ちだし一晩過ごしたそう。「本当に苦痛でした。翌朝にはすっかりおさまりましたが、格闘のせいで翌日は眠くて眠くて!」。ちなみに現地では、トイレで用を足す習慣がなく、よく外で用を足している子どもたちがいたという。「大体お母さんが後始末をするのですが、たまに4、5才のお兄ちゃんやお姉ちゃんが当然のようにその後始末をしているのを見かけると胸がキュンとします。そのあと手を洗うようにするのは必死でしたが!」

関連情報