病院を撃つな!:患者が攻撃の対象となってはならない

2016年05月23日掲載

(2016年8月19日更新)

2015年10月3日、国境なき医師団(MSF)がアフガニスタンで運営する病院が米軍による空爆を受け、患者・スタッフ42人が命を落とすという悲惨な出来事が起きました。昨年来続く医療施設への攻撃は、MSFの施設に限ってもその数は10回を超え、アフガニスタン、中央アフリカ共和国、南スーダン、スーダン、シリア、ウクライナ、イエメンで、病院が日常的に爆撃され、踏みにじられ、略奪され、焼き落とされる事態となっています。

  • 患者が標的となってはならない
  • 命を守るはずの病院や医療・人道援助活動従事者が攻撃されることがあってはならない
  • 攻撃による医療活動の停止で、地域の人びとが医療の機会を奪われることがあってはならない

医療を求め、提供することが死の宣告となってはなりません。

2016年5月3日の国連安全保障理事会では、紛争下での病院、医療・人道援助活動従事者、傷病者への攻撃を強く非難し、そうした事態に対しては迅速で公正な調査を求める決議が全会一致で採択されました。この決議作成には、日本も提案5ヵ国のひとつとして加わっています。この国連安保理決議が机上の空論に終わり、医療施設への攻撃が常態化することがあってはなりません。

MSFは2016年を通して「病院を撃つな!」キャンペーンを展開し、皆さまのご理解・ご支援をお願いしてまいります。

「病院が爆撃を受ける」という現実

この動画には、MSFが2015年10月3日未明まで医療活動を行っていた病院の、現在の姿が映し出されています。この病院はかつて、地域で唯一、高度な外科治療を行える医療施設でした。紛争や事故で傷ついた人びとに無償で医療援助を提供していることで知られていました。


自分の家族だったらと考えてみろ!と言いたい。それでもこの紛争を続けるのか、答えてみろ!と。
(「忘れられない夜、眼差し、そして言葉――爆撃の記憶」から)

アフガニスタン・クンドゥーズ州の外傷センターで活動していて爆撃を受けたMSFのエヴァンジェリン・クワ医師の心の叫びです。けがを治して家族のもとへと帰る日を心待ちにしていた患者、紛争が絶えないこの地域で"命綱"の役割に力を尽くしていたスタッフ、42人もの命が奪われました。いまも悪夢に悩まされているクワ医師に、あなたならどのような言葉をかけますか。

人道援助に迫る危機

MSFをはじめ人道援助団体が、再三にわたって強く訴え続けているにもかかわらず、医療施設への攻撃は増え続けています。

MSFが運営・支援している病院への主な攻撃(2015年10月以降)

8月15日 イエメン北部ハッジャ県で、MSFが支援するアブス病院が空爆の被害に遭い、MSFスタッフを含む少なくとも19人が命を奪われた。
8月6日 シリア北部イドリブ県ミリスで、7万人を対象に医療を提供していたMSFの支援先病院が空爆され、子ども5人・女性2人を含む9人と、スタッフ4人が死亡した。
7月31日 シリア南部ダルアー県ジャシムMSFが支援する病院が爆撃を受け、女性2人、子ども2人、薬剤師1人、事務職員1人の合計6人が死亡した。
7月下旬 シリア北部アレッポ市で、MSFが医療物資を提供している病院が、7月最終週だけで4軒爆撃を受けた。
6月17日 シリア北部アレッポ市で、MSFが支援するオマール・ビン・アブドゥル・アジズ病院が空爆被害に遭い、業務停止に追い込まれた。
6月3日 シリア北部アレッポ市内で空爆が激化。MSFが支援するザルズール病院の医薬品倉庫が被弾した。
5月18日 中央アフリカ共和国のボサンゴア近郊で、MSFの車列が武装集団による待ち伏せ攻撃に遭い、スタッフ1人が殺害された。
4月27日 シリア北東部のアレッポ市で、MSFが支援している中核医療施設のアルクッズ病院が空爆を受け、2人の医師を含む少なくとも14人が死亡した。
3月第3週~4月第1週 シリアの首都ダマスカス近郊に位置する東グータの包囲地域で、MSFが支援していた野外病院2軒が爆撃され、少なくとも38人が死亡、医療スタッフ5人を含む87人が負傷した。
2月23日 南スーダン東部ジョングレイ州ピボールで戦闘がぼっ発。MSFの医療施設が略奪被害に遭ったほか、少なくとも35人が負傷、約1000人が国連基地に避難する事態となった。
2015年10月~2016年2月 アフガニスタンのクンドゥーズ、シリアとイエメンの複数地域で医療施設が攻撃を受け、多くの死傷者が出た。

事態を変える大きな力になります

ここまで記事を読んでくださってありがとうございます。「病院を撃つな!」キャンペーンでは、主旨にご賛同くださった皆さまとともに、この思いをより広く発信し、行動に移していきたいと考えております。「私になにができるだろう?」と思ってくださったときには、下記の具体例を参考にしていただければ幸いです。

関連情報