ソマリア:依然と続く人道危機――MSFの患者800人の証言

2013年02月13日掲載

暴力・避難・食糧難――ソマリアにおける人道危機は依然として続いている。国境なき医師団(MSF)は、ソマリアおよびエチオピアの難民キャンプにある、MSFの医療施設の患者800人余りから、過去15カ月にわたり聞き取った証言を報告書にまとめた。『声を聴いて:人道危機に生きるソマリア人』と題された同報告書で、患者たちは、変わることのない窮状と、生き延びるために最低限の食糧、医療、暴力からの保護が必要だと訴えている。

2012年2月、ソマリアの飢餓は克服されたと宣言され、政府と国際社会はこの国の将来の発展のために、治安向上と国土開発に主に注力している。MSFのソマリアでの活動責任者ジョー・ベリボーは「状況が改善した地域もあるものの、大勢の人びとが今もなお激しい暴力にさらされ、緊急・救命援助を必要としていることを忘れてはなりません」と指摘する。

今回、聞き取り調査の対象となったソマリア人の半数以上がいまだ避難生活にあると答えており、その約半数が暴力にあった経験や襲撃への不安を述べている。また、3分の1の人びとは避難生活が食糧難の主な要因になっていると回答している。

首都モガディシュでの紛争を避けて中部グリ・エル市周辺の
避難民キャンプに暮らす少女。
この一家はこの仮設キャンプで6年間も
避難生活を余儀なくされている

ジュバ川下流地方出身の女性(25歳)は「安全、食べ物、人間らしさや自由の欠如、家族の離散はこの世界で最もつらいことです。私もこれまで、10回以上避難を繰り返してきました。夫は襲撃に遭って亡くなり、2人の子どもたちは私が食べ物をあげられなかったために亡くなりました」と語っている。

報告書では、ソマリア中南部では依然として広い地域で人道援助が最優先事項であること、また、その援助はいかなる政治的意図の影響も受けるべきではないことが強調されている。

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MSFは1991年からソマリアで継続的に活動。同国における活動プログラムにはいずれの国の政府や機関からも資金提供を受けていない。過去2年間は情勢不安とMSFスタッフを標的とした襲撃事件のため、活動規模を縮小しているものの、現在も国内10地方および隣国ケニア・エチオピアで多くのソマリア人を対象に救命医療を続けている。

2011年10月13日、MSFのスペイン人スタッフであるモンツェラット・セーラとブランカ・ティエボーが、ソマリア人難民の滞在するケニア・ダダーブ難民キャンプで拉致された。MSFは2人が依然ソマリア国内で拘束されているとみており、無条件解放を求めている。

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