ナイジェリア:鉛中毒抱えるバゲガ村で、環境浄化がようやく始まる

2013年02月18日掲載

ナイジェリア・ザムファラ州における鉛中毒問題で、汚染が深刻な同州バゲガ村で鉛を除去する環境浄化作業がようやく開始された。国境なき医師団(MSF)は、作業の開始を歓迎するとともに、浄化が可能な乾季の間に作業を終える必要があると訴えている。

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治療にはまず浄化が先決

バゲガ村で作業に向かう浄化事業のトラック(2月11日撮影)

金の産地であるザムファラ州では、鉱石を粉砕して金を抽出している。その粉塵には多量の鉛が含まれており、人びとの健康がむしばまれる鉛中毒の原因となっている。村の環境浄化は、中毒治療を行うための前提条件でもあり、この工程なしには、子どもたちは今後も鉛の毒性にさらされ続け、医学的治療の効果も大幅に制限される。

ナイジェリア連邦環境省の代表は2月第2週にザムファラ州を訪れ、州環境省および除染大手のテラ・グラフィックス社が設立した財団との共同声明で、バゲガでの浄化事業開始を発表、2月11日には、テラ・グラフィックス社と連邦環境省のチームがバゲガで作業を開始している。

ナイジェリアにおけるMSFの活動責任者アイヴァン・ゲイトンは、2年以上も先送りになっていた浄化作業が開始されることを歓迎するとしたうえで、「村の子どもたちを治療する準備はできていますが、それは浄化が順調に進み、地域の汚染解消がテラ・グラフィックス社のような環境工学の専門家によって確認されて初めて可能になります」と述べている。

子どもの急性鉛中毒は、脳に深刻な損傷を与え、死に至ることもある。また、食欲減退、嘔吐、腹痛、体重低下、長期にわたる精神遅滞、行動障害、腎不全を引き起こすこともある。MSFは、連邦保健省との協力のもと、史上最悪規模のザムファラ州鉛中毒被害者の治療にあたってきた。2010年に初めて中毒が確認されて以来、これまでに治療した子どもの数は2500人以上に及ぶ。

雨季が来るまでに浄化作業の完了を

バゲガ村では1500人の子どもが鉛中毒だとみられる。
この家は敷地内を浄化したが、敷地の外は汚染されたままだ

浄化作業が可能なのは乾季の間だけで、不完全な浄化は、未浄化の土地からの二次汚染のリスクがあるため、効果をもたらさない。

テラ・グラフィックス国際財団で現地事業の陣頭指揮を執るシンバ・ティリマ氏は「浄化予算の投入が遅れたことにより、作業に与えられた時間が短くなったことが悔やまれます。雨季に入る前に浄化を終えられなければ、浄化の効果も半減するでしょう。しかし当社は、バゲガの子どもたちがMSFの治療をできるだけ早く受けられるよう、州環境省および連邦環境省と協力し、24時間体制で作業してまいります」と述べている。

当初から、ザムファラの鉛中毒問題の解決には、「治療・環境浄化・より安全な鉱業の実践」という3本柱のアプローチが必要とされ、MSFも従来から、より安全な鉱業の仕組みの導入が、採鉱・加工従事者や周辺住民を鉛毒から確実に守るために必要だとの立場を変えていない。

ナイジェリア北部、ザムファラ州各地の子どもたちが原因不明で亡くなっているという情報を得たMSFは2010年3月、対応を開始。推計400人の子どもが亡くなり、さらに多くの子どもたちの血中から前例のないほど高濃度の鉛が検出された。記録に残されている中では、史上最悪の鉛中毒だ。参考記事:ナイジェリア:鉱山開発による鉛公害、政府は解決を急げ

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