中央アフリカ共和国:人道援助が略奪の標的に――新政府は秩序の回復を

2013年04月11日掲載

中央アフリカ共和国(以下、中央アフリカ)では、複数の武装グループが野放しにされ、無秩序状態が拡大している。国境なき医師団(MSF)の医療施設も、度重なる強盗・略奪被害に遭っており、地域住民は医療へのアクセスを断たれた状態にある。MSFは、3月末に国政の実権を奪取した勢力「セレカ」主導の新政府に、武装グループの取り締まりと、医療アクセスの回復に向けた対応を求めている。

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情勢不安でさらに追い込まれる国民生活

武装勢力の戦闘に巻き込まれバンギのMSF病院で治療を受ける
若い男性(2013年3月撮影)

首都バンギにおけるMSFの活動責任者、シルバン・グルクスは、「この国では情勢が安定しているときでさえ、日々の生活は非常に困難なのです。一連の政変以前も、マラリアなど予防や治療が可能な病気による死亡率が、国内各地で緊急水準を上回っていました。そこに来て、現在の情勢不安が、もとより脆弱な人びとをさらに追い込んでいるのです」と話し、人びとの安全と健康に対し大きな懸念を抱いている。

同国北部のバタンガフォおよびカボを拠点にしていたMSFチームは、強盗などの治安悪化を理由に退避を余儀なくされ、病院運営と医療活動も全面的に中断した。MSFは、当地で医療を提供する唯一の人道援助団体であったため、今後数日から数週間、13万人以上の地域住民の治療の場がなくなることになる。

同様の事態に直面しているボギラでも外国人スタッフは退避したが、最低限の人員で病院の運営は継続している。一方、MSFが医療ニーズの存在を把握している地域への移動は情勢不安に阻まれている。地元病院が略奪され、安全のため保健省のスタッフが退避してしまったボサンゴアはそうした地域の1つだ。

バンギでは、セレカが政権に就いた3月24日以来、MSFの施設が幾度となく略奪に遭い、機器、薬剤、現金、車両など多くの経済的損失が発生している。ただ、いっそう深刻なことは、医療・人道援助活動が必要とする人びとに届けられないことだ。

バンギ地域駐在のMSFチームは、総合病院を引き続き支援しているが、水・電力・優秀な医療スタッフの不足は深刻だ。同市の情勢は沈静化したが、現在も一部地区で抗争や発砲事件があり、治療の必要な負傷者がいる。

MSFは1997年から中央アフリカで活動。現在は国内7ヵ所の保健区域のうち、5ヵ所で7件のプログラムを運営している。同国保健省への協力として支援する病院は7件、診療所は38件。活動領域は基礎医療から、HIV・結核やいわゆる「顧みられない病気」の治療、栄養対策・治療、予防接種、外科、その他の専門医療にまで及ぶ。これらのMSFの活動では、マラリア対策が主な課題となることが多い。

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