イエメン:民間人巻き込む戦闘が激化――MSFの支援病院にも被害

2017年12月07日掲載

紛争続くイエメンでは、紛争当事者による民間人に配慮しない無差別な戦闘が激化、これまでとは別次元の様相を見せている。市街地での激しい戦闘と空爆によって首都サヌアは麻痺し、負傷者は病院に行くこともできない。一方で、国境の封鎖によって、イエメン国内への医薬品などの物資搬入は妨げられているままだ。

ハッジャ市で病院空爆

2017年11月の最終週、サヌア市内にいる人びとは戦闘と空爆のため自宅から何日も出られない状況が続いた。武力衝突は周辺のハッジャ県、アムラン県やイッブ県といった他の地域にも広がっている。すでに数百人の死者が報じられている中、国境なき医師団(MSF)の医療チームは救急車による負傷者の捜索救助を行っている。また紛争当事者から市内移動の安全保証は得られていないものの、市内にある複数の病院に医療物資の寄贈に成功している。

12月4日未明には、ハッジャ市にある支援先のアル・ジュムフリ病院が空爆を受け、救急処置室、手術室、集中治療室が損壊、救急処置室にいた12人の患者が退避した。そうした中、同病院では業務を継続、ハッジャ市内の空爆による22人の負傷者を受け付けた。同病院では12月2日から3日の間にすでに38人の紛争負傷者を受け付けていた。アムラン県では、MSFは12月2日にハメルとフースにある2ヵ所の病院で28人の負傷者を受け付けた。

ハッジャでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるスティーブ・パーブリックは、「この紛争で医療機関は繰り返し攻撃を受けてきましたが。紛争当事者は今再び医療の保護に注意を払わなくなってきており、患者と医療スタッフの命が危険にさらされています。民間人の避難と医療へのアクセス、救急車や病院も保護されていなくてはならないのです」と訴える。

国境封鎖と戦闘で医療活動に破壊的影響

一連の戦闘は、サウジ主導の有志連合によるイエメンの国境封鎖の最中に起きた。この封鎖はイエメン国内への商業・人道物資の輸入を大幅に制限するもので、11月6日以降行われている。現在、人道援助関係の物資輸入は一部が空・海ともに許可されるようになったが、食糧や燃料を含む商業物資は依然として輸入ができない状況が続き、イエメン国民は生活必需品や医薬品が手に入りにくい状況となっている。戦闘の激化と封鎖によって、燃料価格は200%増加し、水や食糧などの生活必需品の価格も急騰した。

MSFの活動責任者ジョエン・ベッセリンクは、「封鎖と最近の戦闘によって国内での医療活動に破壊的なドミノ現象が起きています。例えば燃料費の高騰は人びとにとって病院への交通費支払いの増加を意味します。あるいは、病院へ行くか、家族のために食べ物を買うかといった難しい選択を迫られるということです。病院自体も燃料費の捻出に苦労していますから、稼動し続けているわずかな病院の中にも閉鎖に追い込まれるところがでてくるかもしれません」と話す。

MSFはサウジ主導の連合軍に対し封鎖解除を引き続き呼びかけている。

MSFは現在、タイズ、アデン、アッダリ、サアダ、アムラン、ハッジャ、イッブ、サヌア、ホデイダ、アビヤン、シャブワ、ラヘジの12県で合計13ヵ所の病院・診療所を運営し、20ヵ所余りの病院・診療所を支援する。国内全域で1600人弱のスタッフが活動し、MSFの全活動地のなかでも有数の規模となっている。

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