画期的なワクチンの臨床試験終了、数千人の子どもが下痢で亡くなる事態回避に光

2017年03月29日掲載

国境なき医師団(MSF)と複数の機関の連携で行なわれていた、下痢による死から子どもを守れる画期的な新ワクチンの臨床試験が成功裏に終了したことが発表された。重度の下痢の主因であるロタウイルス感染により、毎日推定1300人の子どもが命を落とし、その多くはサハラ以南アフリカに居住している。新ワクチンは現在WHOによる審査待ちだが、承認されればサハラ以南アフリカで大勢の子どもたちの命を救える可能性が見えてくる。

「これまでの流れを一変させる」

画期的な新ワクチンは「BRV-PV」として知られ、ニジェールで最近行われた臨床試験の結果、ロタウイルスに対する安全性と有効性が証明されたと3月23日付けの『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(NSJM誌)は報じた。さらに、この新ワクチンは特にサハラ以南アフリカで見つかる菌株に対して適応される。

下痢は幼児と小児の間で2番目に多い死因で、そのほとんどは、水と衛生設備が限られ子どもの命を救うための医療を受けられないような低所得国で起きている。そうした状況下で、予防接種のような予防措置は、はかりしれないほど大きな影響力を持つ。

MSFのミカエラ・セラファーニ医師は「この新ワクチンはこれまでの流れは一変させるでしょう。切迫した状況にある子どもたちをロタウイルスから守ってくれると確信しています」と話す。

冷蔵保存が必要なく、価格も手頃

現在ロタウイルスのワクチンは2種類あり、いずれも常時冷蔵を必要とする。新ワクチンの最も画期的な点は、耐熱性で冷蔵を必要としないことだ。そのため、これまでワクチンを最も必要としていながら、医療へのアクセスが限定されていた遠隔地の地域の人びとにとって、より届きやすいものとなるだろう。

インドの「セラム・インスティチュート」によって製造される新ワクチンは、ロタウイルスの中でもサハラ以南アフリカ諸国に最も多い種類にあわせて造られている。価格も2.5米ドル(約280円)以下と購入しやすく、現在市販されているロタウイルスワクチンの最低価格をはるかに下回る。より素早く定期予防接種プログラムの一環として展開しやすくなるのに加え、既存ワクチンの供給不足を補うものとしても期待されている。

BRV-PVワクチンの有効性試験は、MSFの科学・疫学研究機関であるエピセンター、ナイジェリア保健省、セラム・インスティチュート社、シンシナティ小児病院などのパートナーと連携して行われ、最近ではニジェール・マラディ州で4000人以上の2歳未満児を対象に実施された。試験結果から、安全性に問題はなく、重度胃腸炎に対して既存のワクチンと同様の有効性が証明された。

WHOによる承認待ち

BRV-PVワクチンは現在、世界保健機関(WHO)による事前認定に向けて審査中である。承認されれば、低所得国はこのワクチンを購入しやすい価格で調達し、自国で定期予防接種を展開できるようになる。

セラファーニ医師は「この臨床試験の成功は、特に低所得国での使用にあわせたワクチンの研究開発が結果を出せるということを示しています。WHOからの事前認定が早ければ早いほど、ワクチンが最も必要とされている場所で何千人もの子どもの死を防ぐことができます」と話す。

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