ヨルダン:シリア人紛争被害者の医療搬送を要請――北部病院で外科部門を新設し受け入れ体制整える

2016年07月22日掲載

ヨルダン北東部国境沿いでヨルダン兵7名が自爆攻撃により死亡したことを受け、ヨルダン北のシリア国境は2016年6月21日以来封鎖されている。国境なき医師団(MSF)はシリア国境まで5kmのラムサ国立病院において救急外傷外科プロジェクトを行っているが、国境の封鎖によりシリア人負傷者は来院していない。MSF は多数の負傷者を治療するための新しい外科部門を開業するとともに、閉鎖された国境からシリア人紛争負傷者を医療搬送させることを求めている。

生き延びるチャンスを奪う国境封鎖

ヨルダンでMSF活動責任者を務めるルイス・エギルスは「紛争により重傷を負った特に状況の深刻な被害者たちは、国境閉鎖のせいで生き延びるチャンスを失ってしまいます。再びヨルダン入国が認められなければ、緊急を要する救命医療も受けられません」と訴える。

国境封鎖前、シリア南部の戦闘激化により、ラムサ病院では極めて重篤なシリア人負傷者の受入が増加。MSFは救命外科と術後のリハビリの水準や質を高めるため、新しい部門の立ち上げを決定していた。ラムサ病院では2013年9月の開始以来、ヨルダン保健省との緊密な連携のもと、1062人のシリア人患者(うち23%が女性、36%が子ども)を治療し、800件余りの大手術を行っている。

シリア国内の保健医療システムが過去5年の無差別的な戦争で瓦解しているだけに、ヨルダン北の国境閉鎖と負傷したシリア人の拒絶は、傷病者保護について深刻な懸念をもたらす。エギルスは「ヨルダン当局に紛争負傷者への配慮を保つよう求めます。そうした配慮が、これまでも老若男女の多くのシリア人の命を救ってきたのです」と話す。

既存の施設は地元の医療向上に活用

MSFはラムサ病院に新設した外科部門で、極めて重篤な負傷者を受け入れる用意をしている。新しい部門の開業は、地元の医療ニーズへの対応も向上することが期待される。ラムサのMSFプロジェクト・コーディネーター、ミカエル・タロッティは「MSFの医療チームが使っていた既存の手術室はラムサ病院に移管され、産科専用となる予定です。これにより、ヨルダン人女性のプライバシーがより尊重され、保護、自立性、病院利用が向上するでしょう」と話す。

シリア紛争のぼっ発以来、これまでに400万人を超えるシリア人がヨルダンなどの周辺諸国に避難した。MSFは、首都アンマンにおける再建外科プログラムを立ち上げた2006年8月からヨルダン国内で活動を継続し、2013年以降はラムサ病院の救急外傷外科プロジェクトを展開。同地とイルビド市における母子病院と非感染性疾患プロジェクト2件でも、シリア人難民と受入地域のヨルダン人困窮者を援助している。

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