ザンビア:過去最大のコレラの集団予防接種キャンペーンを開始

2016年04月12日掲載

コレラの流行が確認されているザンビアの首都ルサカで、国境なき医師団(MSF)は4月9日、50万人以上を対象とした過去最大規模となる経口コレラワクチンの集団接種を開始した。コレラは市内の人口過密地区で2月から発生しており、4月7日までに報告された症例は664件、死亡例は12件に上る。予防接種はザンビア保健省および世界保健機関(WHO)と密接に連携し、2週間にわたって行われる予定。

洪水により汚染水が流れ込み流行が拡大

ルサカではコレラの流行により、2003~2010年の間に3万人が感染し、860人が亡くなっている。MSF緊急対応コーディネーターのカロリーヌ・ヴートは「ルサカではこれまでも再三コレラの集団感染が発生しているものの、前回の流行は2010年まで遡ります。長い間隔が空いたことから、人びとにはコレラへの免疫が全くと言っていいほどありません。そのため、洪水が起こりやすく人口が密集しているこの場所に、コレラ感染の"隙"が生まれてしまったのです」と説明する。

ルサカでは約120万人が"非公式居住区"に暮らしており、雨期のたびにコレラのリスクにさらされる。2016年は雨期が遅れたことで打ち込み井戸が枯渇したため、住民は無防備な浅井戸の利用を余儀なくされた。雨期が到来すると、満杯の掘り込み式トイレに洪水が流れ込み、汚染水の流れや水たまりをつくっていた。人びとはその中を移動せざるを得なかったため、大規模なコレラ流行に理想的な環境となってしまった。

患者の治療、健康教育なども同時に行うことが重要

今回の集団予防接種の対象は57万8000人。MSF外国人スタッフ8人、ザンビア保健省スタッフ19人、ルサカの地元ボランティア1135人が、市内でも特に影響の深刻なカニャマ、バウレニ、ジョージ、チャワマの4地区合計39ヵ所で展開する。

これと並行し、保健省は市内のコレラ治療センターで患者の治療を続ける予定で、家屋の消毒、健康教育、消毒液の配布による非公式居住区の衛生条件改善にも努めていく。

「コレラワクチンの接種は感染抑止の効果を期待できますが、それが唯一の対策ではありません。必ず、患者の治療や健康教育と組み合わされるべきです。同時に、給排水・衛生活動を徹底し、今後の感染リスクを低減する必要もあります」とヴートは話す。

経口コレラワクチンについて

経口コレラワクチンは、コレラの感染制御の新たな手段になりつつあり、複雑な緊急状況下での流行予防や、コレラが風土病となっている国々での感染抑止および疾病負荷の軽減に成果を上げてきた。このワクチンは通常、2回接種が推奨されている。ただ、ワクチンの世界的な流通量に限りがある中で、ルサカの流行をいち早く押しとどめるため、1回接種を2倍の数の対象者に提供する方が、"集団免疫"を速やかに最大化できると考えられる。

MSFは1999年にザンビアで活動を開始。北部州ルウィング郡のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の活動は2013年に保健省へと引き継いだが、コレラ対策は7年にわたり共同で運営してきた。今回MSFは2016年3月に現地入りし、流行の制御と集団予防接種の実践について保健省およびWHOへの支援を開始した。

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