TPP:国際保健を揺るがす条項に反対を――MSF、安倍首相あてに公開書簡

2015年07月23日掲載

環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合が7月24日から、米ハワイ州マウイ島で始まる。国境なき医師団(MSF)は、現在交渉されている知的財産関連の条項案が、ジェネリック薬(後発医薬品)の普及を阻み、アジア太平洋地域などに暮らす数百万人の健康を脅かすものだと、すべての交渉参加国に有害な関連条項案の撤廃を求めてきた。日本政府に対しても同様の懸念を表明してきたが、本日改めて、米国の提案する条項案に拒否を求める公開書簡を、安倍晋三内閣総理大臣に提出した。

公衆衛生を視野に入れた決断を

現在交渉下にある条項は、米国が製薬企業に利するために推しているもので、TPP交渉参加国で暮らす、ジェネリック薬が必要な800万人以上の犠牲を伴うものだ。これら条項が現行案のまま妥結されれば、TPPは国際保健に壊滅的な打撃を与えることになるとみられる。医薬品に関する不必要な新規特許と規制強化による独占を生み出し、強化・長期化させ、薬価を引き上げる一方で、その低下を促すジェネリック薬による健全な市場競争の可能性を狭めかねないからだ。

協定の中でも最も憂慮すべき条項の一部は、いわゆる特許の「エバーグリーニング」を助長する規則を設けている。この条項により、TPPの参加国は、製薬企業が改変を行った既存薬について、仮にその改変が患者の治療に貢献するものではなかったとしても、追加的な特許承認を迫られる恐れがある。

またTPPが今後の世界的な通商協定の有害な先例となりうることも大きな懸念のひとつとなっている。有害な条項案が削除されなければ、後に続く世界的な貿易協定で、さらに多くの途上国が規制の対象となり、商業的利益の前に、公衆衛生のセーフガードと、国際法で明文化されている融通性は後退することとなる。"大筋合意"を目指すとされる今回の会合で合意形成が図られる前に、参加各国はTPPがもたらす将来的な影響を考慮し、商業的利益の確保と公衆衛生の責務をバランスよく対応できる国際規範を導入することが求められている。

関連情報