モロッコ:現地警察が移民を大規模摘発――暴力による負傷者増に懸念

2010年10月04日掲載

モロッコ警察により強制撤去された移民の家(2010年9月撮影) モロッコ警察により強制撤去された移民の家(2010年9月撮影)

2010年8月19日から9月10日までの間、モロッコ警察は国内に居住しているサハラ以南アフリカ諸国出身の移民に対して、大規模な摘発と追放を実施した。妊婦や子どもを含む推定600 ~700人の移民が逮捕され、夜間に隣国との国境付近へ食糧も水もない状態で追放された。摘発にともなう暴力で負傷した患者の数は、過去2~3週間で著しく増え、国境なき医師団(MSF)はこれらの人びとの健康と人道面での窮状を深く懸念している。MSFはモロッコ政府に対し、移民規制措置を実行する際にはモロッコ国内法と国際法の定める義務に従うように訴えている。

警察による移民の摘発は、ウジュダ、アルホセイマ、ナドール、タンジール、ラバト、カサブランカ、フェスなどの地域を含むモロッコ全域で行われた。摘発作戦の多くで警察はブルドーザーを使ったほか、ナドールではヘリコプターを使って移民のテントや住居を破壊した。MSFが治療した患者186人のうち、103人が摘発時に直接、または間接的に受けた暴力で負傷している。逮捕された移民たちは、夜間にモロッコとアルジェリアの国境付近へと追放され、強盗や密航斡旋業者による襲撃や強奪に遭う危険にさらされていた。

モロッコにおけるMSFの活動責任者ジョルジュ・マルタンは語る。
「MSFは大規模摘発と追放が移民の心身の健康にもたらす影響を目撃しています。国境付近へ追放され、ウジュダになんとか戻ってきた女性患者は急性胃腸炎を患っていました。この彼女は摘発の6日前に出産しましたが、逮捕された後、警察の独房に新生児と共に5日間収監されていたそうです」

ウジュダまで帰ってきた人びとも、着の身着のままで所持金や住む場所さえない状態にあり、厳しい生活環境が患者の増加につながっている。MSFの医療ケアを受けた移民の約半数は、不衛生な生活環境が誘発した症状を抱えていた。これらの人びとのうち、18%は皮膚感染、10%は呼吸器感染、11%は消化器疾患を患っていた。

マルタンは語る。
「モロッコ政府による大規模摘発と国境への追放が、移民や難民の人びとをより困難で危険な立場へと追い詰めています。政府はこれらの人びとの尊厳を尊重し、これ以上困難で危険な状況にさらすことを避けるべきです。モロッコの法律で定められているとおり、移民の中でも特に妊娠中の女性、子どもやその他の困難な立場にある人びとは、国境へ追放されたりしてはならないのです」

MSFは2000年から、モロッコでサハラ以南アフリカ諸国出身の移民に対する医療援助を行っている。MSFは、これまでにタンジェ、カサブランカ、ラバト、ウジュダなどで医療援助と生活環境の改善に関する援助活動を行った。医療援助を補うアドボカシー活動として、政府当局やその関係者に、移民の人権擁護と援助を求めるロビー活動も行っている。現在MSFはウジュダで移民と難民に向けた医療と心理ケアプログラムを運営している

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