ウズベキスタン:アラル海の砂漠化――環境破壊の影響に苦しめられる住民

2003年07月15日掲載

「アラル海の砂漠化」という20世紀最悪ともいえる環境破壊には、現在ある程度の国際社会の関心が向けられているものの、その周辺地域に住む人々の健康への影響についてはほとんど取り上げられることがない。かつて世界で4番目の大きさを誇る湖だったアラル海は、この50年間で海岸線が110km以上後退し、面積は半分以下になっている。

ソ連時代、ウズベキスタンでは綿花栽培のために大規模な灌漑を行った。その際にアラル海に流れ込むアムダリア川とシルダリア川を灌漑用水として利用した結果、湖に届く水量が著しく減少してしまった。また殺虫剤や除草剤、枯葉剤などが30年以上にわたり大量に使用された。

そのため干上がって砂漠と化した湖面には塩分のほか殺虫剤などの成分が残り、それらを含む砂嵐が農作物を枯らせ、人体にも深刻な影響を及ぼしている。

MSFは1997年よりアラル海周辺地域で結核対策をはじめとする医療援助を行うほか、環境破壊が人々の健康に与える影響についての調査・研究を続けている。

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結核対策

干上がった湖面 干上がった湖面

カラカルパクスタンはウズベキスタンの西部に位置しアラル海に面する自治共和国である。150万人の住民を抱えるこの地域では、環境破壊の影響と見られる結核流行の拡大が深刻であり、その発症率は世界で11番目の高さに相当する。MSFは現在、このカラカルパクスタンやホレズム地方、トルクメニスタン北部のタシャウス地方の計30地区でDOTS(直接監視下短期治療法)による結核治療プログラムを進めている。1997年から計1万3千人以上の患者が治療を受けており、その継続率も高く治癒率は平均70~76%に達している。昨年は増加傾向にある多剤耐性結核治療の試験プログラムを開始するとともに、ヌクスの結核治療センター(600床)の修復を行った。

この地域に関心を

またMSFはカラカルパクスタンで呼吸器感染症や下痢の予防・管理を担当する専門スタッフの育成や水・衛生環境の改善に加え、この環境破壊が住民の健康に及ぼす影響の調査、地元のテレビを通しての保健教育などのプロジェクトを進めている。またこの地域の問題により積極的な取り組みを求めるため、国際機関などに定期的に出向き講議を行っている。

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