バーレーン:軍による患者の弾圧―MSFは医療を受ける権利の尊重を要求

2011年04月08日掲載

今年2月から政府と反政府派の対立が続くバーレーンでは、医療施設が反政府デモ参加者の弾圧に利用され、負傷者の治療が妨げられている。国境なき医師団(MSF)は、バーレーン国内の病院や診療所は病人や負傷者にとって安全ではなく、身の危険が脅かされる場所となっている事態を深く憂慮している。

MSFの医療コーディネーター、ラティファ・アヤダは話す。
「警察部隊や軍からの発砲で負傷していることが分かるとデモ参加者だとされ、当局が逮捕者を特定する際の決め手となっています。また、バーレーン当局による病院での治療の妨害は、人びとが反政府デモへの参加を阻止する手段となっているのです」

これまで同国内の医療施設は高い医療水準を保っていたが、2月に政府軍と反政府デモ隊の間で衝突が発生した後では、人びとの医療ニーズに対応できなくなった。最近MSFのチームが、バーレーン唯一の公立の救急病院である首都マナマのサルマニヤ病院を訪れた際、この病院はほぼ無人となっていた。

サルマニヤ病院に収容された人びとは、軍隊から受けた暴行の一部始終をMSFのチームに説明し、暴行による傷跡を見せた。他の患者は身体に負った傷がデモに関連したものだということが見つかったため、病院内で逮捕された。人びとは病院内で逮捕される恐れがあることから、治療を受けに病院診療所に行くことを控えている。

サルマニヤ病院が反政府デモの実施場所として利用された後、軍によって占拠されたことを受けて、他の医療施設や医療従事者も襲撃の対象とされ、公平な医療ケアを提供すべき医療機関がぜい弱化している。

MSFは当初、バーレーンで緊急の医療援助活動を開始するため、MSFのチームが患者に付き添い医療施設まで移動する援助方法を検討していた。しかし、実際には患者を襲撃の危機にさらさずに安全な治療環境を提供することは困難であった。

バーレーン唯一の救急病院であるサルマニヤ病院 バーレーン唯一の救急病院であるサルマニヤ病院

MSFベルギー支部のクリストファー・ストークス事務局長は話す。
「軍隊による病院を標的にするとの宣言や、治安部隊が医療機関をデモ封じ込めの手段として利用することは、患者が安全に治療を受ける権利を損ねることにほかなりません。また、全ての医療従事者が差別することなく治療を行う普遍的な権利も脅かされています」

人びとが身の危険を感じることなく治療を受けられるよう、特にサルマニヤ病院の軍による占拠の解除を含めたあらゆる措置を講じるべきである。反体制派のデモ隊もまた、デモの実施場所に病院を利用しないようにすることが求められる。

MSFは国際的な人道法に基づいて、当局が医療施設や医療従事者の保護ならびに尊重を保障するよう訴える。この人道法はまた、市民や病人、負傷者や囚人に対しても適用されるべきである。市民への医療サービスを継続できるか否かについては、現在当局の手に委ねられている。

警察や軍隊、治安当局は医療機関をデモ封じ込めに利用することを止めるべきである。また、これまでのように、医療従事者が患者の政治や所属に関わらず医療ケアを実施することが求められる。

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