ロシア:ケメロボ州での結核治療を中止

2003年10月01日掲載

国境なき医師団(MSF)は、ロシア共和国ケメロボ州にある囚人居留地で7年にわたり展開してきた画期的な結核治療の取り組みの中止を決定した。ロシア保健省が、薬剤耐性結核の撲滅に対するMSFの取り組みを拒否し、プロジェクトの続行が不可能となったためである。本プロジェクトは世界保健機関(WHO)の疾病治療に関するガイドラインに準拠したものであった。

今年の春、保健省はMSFに対し、プロジェクトが採用している治療法はロシア薬剤委員会の規定に抵触していると通達した。MSFは、結核の分野でロシアの指導的立場にある専門家の助けを借り、申請書類の見直しを行った。修正後の申請は中央結核調査研究所、ロシアの刑務所管理局、そしてケメロボ州での結核対策の監督機関であるノボシビルスク結核研究所の承認を得た。にもかかわらず、保健省は今年9月、本プロジェクトを再度拒絶した。

「長年の努力が水の泡になってしまった」とロシアでMSFの活動責任者を務めるNicolas Cantauは語る。「患者が完全で適切な治療を受けられる唯一の可能性だったというのに、計画の中止を余儀なくされてしまった。我々には選択の余地はないが、シベリアにおける結核問題の規模の大きさと、これまで我々がロシア当局と共に問題を解決するため7年間かけて行ってきた投資を考えると、撤退という決断は非常に手痛い敗北だ」。

保健省が今回の拒絶理由としてあげたのが、薬剤耐性結核の治療には欠くことのできない第二選択薬としての特定の抗結核薬の長期使用を禁止するロシアの法律の存在である。現在の法律に準拠するためには、MSFはWHOの提案とは完全に矛盾する治療法を実行しなければならない。今月行われた高官レベルの説明でも、保健省の態度を変えることはできなかった。

ケメロボ州の刑務所管理局の招聘を受け、MSFは1996年の初めからケメロボ州の刑務所における結核抑制プロジェクトに携わってきた。2001年からは、市民レベルの活動も開始している。2003年6月までに、1万人を超える患者がMSFと地域組織の協力のもと、WHOの方針に沿った治療を受けた。結核治療薬および副作用薬の供給以外にも、MSFはこの地域の患者に対する栄養食の供給、医療施設の再建、研究所への機材提供などの支援を行ってきた。MSFが全面修復を行い設備を整えた、マリンスクにある第33居留地の結核研究所は、この地域の受刑者医療制度における拠点施設となっている。

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