MSFの結核マニフェストに「結核予防会結核研究所」が支持を表明

2014年04月24日掲載

結核マニフェスト

「結核マニフェスト」に賛同を――通常の治療薬が効かなくなった「薬剤耐性結核(DR-TB)」の治療改善に向けて国境なき医師団(MSF)が呼び掛けている署名運動に、日本における結核対策の代表的な機関である財団法人 結核予防会結核研究所が支持を表明した。同署名運動には世界中から賛同の声が寄せられており、これまで3万以上の署名が全世界の患者、医療従事者、一般から寄せられた。日本においても3月24日の世界結核デーを前に開設したオンライン署名サイトに1100人以上が署名している。

MSFは「結核マニフェスト」に寄せられた署名を、5月にスイス・ジュネーブで開かれる世界保健機関(WHO)総会で、日本を含む加盟各国に提出する予定。

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DR-TB制圧には、世界的な取り組みが不可欠

結核予防会結核研究所の石川信克所長は、「当研究所が結核対策を支援するまん延国でも、薬剤耐性菌への感染増加が結核の問題を一層深刻なものにしています。現在のDR-TB治療の選択肢は全く適切とは言えず、DR-TBの診断・治療改善は喫緊の課題となっています。我々はDR-TBに新たな治療法が開発され、患者ひとりひとりに届くよう求めるMSFの主張を全面的に支持してまいります」とコメントを寄せている。

国境なき医師団日本の事務局長 ジェレミィ・ボダンは、「私たちが掲げる要望に、多くの日本の人びと、とりわけ結核対策に重要な役割を果たしてきた結核研究所より賛同をいただけたことを非常に心強く感じています。DR-TBは公衆衛生における危機であり、世界的な取り組みが必要な問題です。日本を含む各国政府が、DR-TBの治療改善を推し進め、診断・治療の普及拡大に向けて政治的・財政的なコミットメントを示すよう強く期待しています」と述べている。

長く苦しい治療、低い治癒率の打開に向けて

結核は、年間約860万人が発病し、約130万人が命を落とす感染症。HIV/エイズに次いで世界で2番目に死亡者数の多い疾患で、死亡者数の95%以上は低・中所得国に暮らす(※)。DR-TBは、結核治療を受けていた人が、完治する前に治療を止めてしまったり、適切な治療を受けられなかったりした場合などに発症する。薬剤耐性がさらに強化され、複数の治療薬が効かなくなる「多剤耐性結核(MDR-TB)」や「超多剤耐性結核(XDR-TB)」へと症状が進むこともある。

  • 出典:世界保健機関<WHO>

DR-TBの患者は、長期にわたる苦しく高額な治療を受けるしか方法がない。例えば2年間にわたって1万錠以上の薬をのみ、8ヵ月間毎日注射に耐えなければならない。また、多くの場合、吐き気、体の痛み、聴覚障害から精神疾患など様々な副作用に苦しめられる。治療費は、薬だけでも患者1人あたり約4500米ドルかかることもある。

こうした現状に加え、現在治療を必要としていて実際に受けられている人は5人に1人にとどまり、DR-TBの治癒率も50%程度しかない。MSFはこうした事態の打開に向けて以下の3つの要望を「結核マニフェスト」として掲げ、賛同の署名を募っている。

  • 診断・治療の普及
  • 治療法の向上
  • 治療の普及を促す資金援助の拡大と、治療法向上のための研究・開発支援

署名は5月中旬まで募集を続け、同月にスイス・ジュネーブで開かれる世界保健機関(WHO)総会で提出するほか、各国政府・諸機関・製薬会社などに持参して、事態打開に向けて互いに協力するように要望する予定。

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