タイ政府がモン族難民800人をラオスへ強制送還 MSF、強制送還の即時停止と送還者への医療ケアの保証を要求

2008年06月27日掲載

タイ政府は6月22日、ラオスから逃れてきたモン族の難民推定800人をラオスに強制送還した。さらにタイ当局は、タイのペッチャブン県ファイ・ナム・カオ村の難民キャンプに留まっている6千人のモン族難民についても近日中にラオスへ送還すると公言している。国境なき医師団(MSF)は、タイ・ラオス両政府に対して直ちにモン族難民の強制送還を全面的に停止するよう要求している。両政府は、ラオスへの強制送還者とタイ国内の収容所に拘束されていると見られるモン族の難民へ適切な医療・人道援助がなされるよう、独立の監視機関が介入するよう促すべきである。

MSFはさらに、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国および事務局長、国連の潘基文事務総長、そしてフランス、米国、中国の各政府に対して、タイ・ラオス両政府が難民保護の国際基準に従ってこの問題を解決するよう働きかけることを要求している。

ラオスに送還された推定800人の難民は、タイとラオスの両政府が交わしたモン族難民の強制送還の合意に反対する抗議デモに参加した約5千人が軍に拘束された後、強制送還された。2005年からモン族難民への援助活動を行っているMSFは、タイのケクノイ村付近のキャンプで抗議デモの発生後、いまだに1300人がキャンプに戻っていないと見ている。彼らの消息は不明である。

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MSFのタイにおける活動責任者、ジル・イザールは語る。「タイ当局は、今回の強制送還が難民たちの自発的な帰還であると主張しています。これは信じがたいことです。多くの家族が引き離され、抗議デモに参加したモン族のMSFスタッフの1人は、子どもたちを残してラオスへ強制送還されました。このようなケースは他にもあります。モン族難民の多くが、ラオスに送還されることを非常に恐れています。キャンプでは、150人以上の人びとが森の中で暮らしていた数年前にラオス軍兵士から受けたとする銃創に苦しんでいます。現在行方不明になっているモン族難民の中には、ラオスで受けた暴力や迫害による心的外傷の治療をMSFから受けていた人も含まれます。彼らはラオス政府を信頼しておらず、母国に送還される前に真に安全が保証されることを求めています。」

難民保護において国際的に認定されている基本的な権利によると、本国への送還は身の安全に不安を抱くいかなる個人に対して強制、もしくは命じることは出来ないと規定している。さらに、いかなる送還も帰還時の身の安全を保証し、必要な場合には適切な援助がなされるべきであることを明記している。

イザールは語る。「今回の強制送還の実施においては透明性が完全に欠如しており、これは問題をさらに悪化させるだけです。もしタイ、ラオス両政府が独立の監視機関の介入を容認すれば、この問題の解決につながるかも知れません。」

MSFはタイのモン族難民に対する援助を過去3年にわたって行っており、ラオスに送還された人びとへの医療チームのアクセスが認可されれば、彼らに対して人道援助を行う構えがある。

MSFは2005年7月から、タイのペッチャブン県ファイ・ナム・カオ村のモン族難民に対する援助を行っている。MSFのチームは、このキャンプで暮らす約8千人のモン族難民に対し、医療・心理ケアの実施、食糧・水・救援物資の提供を行っている。

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