トルクメニスタン:隠された医療制度の不備で命の危機にさらされる人びと

2010年04月15日掲載

国境なき医師団(MSF)は4月に報告書「トルクメニスタン:不透明な医療制度」を発表し、トルクメニスタン政府が国際社会にアピールしている繁栄のイメージは、この国の人びとが直面している健康上の危機を覆い隠していることを指摘する。この報告書では、同国政府による感染症蔓延の度重なる否定、医療データの改ざん、医療現場においてほとんど適用されない国際的基準やプロトコルなど同国の医療制度の実情を、MSFが提供してきた医療援助活動の経験をもとに報告している。

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MSFはトルクメニスタンでの10年間の活動を通じて、HIV感染やC型肝炎の感染の検査をしないまま輸血をするなどの危険な医療行為や日常的に起こる医療過失により、人びとの命が危険にさらされている状況を目の当たりにしてきた。国内の医療従事者は、妊産婦死亡率や乳児死亡率、感染症などのデリケートな統計の数値に悪影響を与えることがないように、重篤の患者を病院から追い返すことを強いられるようなこともある。この国の医療制度では感染症によって引き起こされた健康上の脅威に対する取り組みよりも海外でのイメージが優先され、結果としてトルクメニスタンの人びとはなおざりにされている。

MSFの医療ディレクター、レスリー・シャンクス医師は次のように語る。
「結核やHIV/エイズを含む性感染症の罹患率が公的統計よりも高いことは、紛れもない事実です。これはトルクメニスタン政府が現状を認めることを拒否しているということを示唆します。世界保健機関(WHO)やユニセフなどのこの国で活動する国際援助機関は、政府からの誤った情報や、効果がないばかりか危険な医療行為に表面上の正当性を与え、この問題を事実上黙認してきました」

結核の中でもとりわけ薬剤耐性結核はトルクメニスタンにおける健康上の最大の脅威とされている。近隣諸国における結核の蔓延を考慮すると、同国における結核蔓延の深刻な危機は、迅速で大規模な取り組みがなされなければ、更に広範な地域への影響も含めて保健衛生上の重大な危機につながる可能性ががある。このような危機を未然に防ぐためには、国際的な専門家の支援の下に薬剤耐性結核の迅速検査と治療が直ちに実施されなければならない。

MSFはトルクメニスタンでの活動にさらなる制限を受け、2009年12月に同国での活動を終了する決断を下した。MSFは現地での活動が、この国の医療制度における問題に取り組むよりも問題の黙認に加担する可能性のほうが大きいと結論付けた。

シャンクス医師は語る。
「国際援助機関や国際援助団体はトルクメニスタンの医療制度の透明性を高めるように積極的に働きかけ、事実に反するデータの報告をやめなければなりません」

MSFは1999年からトルクメニスタンでの活動を開始し、国際的に認知された結核治療を同国で初めて導入した。MSFはこの5年間では、トルクメニスタン東部のマグダンリー市立病院で小児ケアとリプロダクティブ・ヘルスケアの改善に取り組んだ。MSFは2009年トルクメニスタンでの活動を終了することを決定した。

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