ホンジュラス: デング熱の疑い、前年比235%増――MSFが緊急対応

2013年10月25日掲載

デング熱が重症化した"デング出血熱"がホンジュラス第2の都市サンペドロスーラ全域にかけて流行し、症例数が前年比の3倍を超えている。デング熱は蚊が媒介する感染症で、命にかかわることもある。特に子どものリスクが高い。国境なき医師団(MSF)は、ホンジュラス北東部の主要な公立病院で、保健当局への支援を通じた緊急対応を開始した。

MSFの医療コーディネーターであるルイス・ネイラ医師は「活動開始以来、患者が途切れることなく来院し続けています。現在は15歳未満の子どもへの緊急援助に注力しています。病院で治療を受けた患者の4人に3人は子どもです。最も重症の患者も子どもです」と話す。

デング熱流行への緊急対応に加え、MSFは首都テグシガルパ市内でも活動している。活動地域は暴行事件が多発しており、被害者の治療などの援助に取り組んでいる。中米地域では25年以上活動しており、自然災害、緊急事態ならびに他の医療・人道面の危機に対応している。

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重症化すると命にかかわる感染症

MSFが設置したデング熱患者対象の病室 MSFが設置したデング熱患者対象の病室

デング熱の"疑い例"としてサンペドロスーラ市内で報告された症例数は、2013年8月時点で、前年比235%増だった。現地の保健当局は対応しきれず、MSFが活動を開始するきっかけとなった。

孫娘を連れて来院したマリアナさんは「アサクアルパから車で4時間かけて来ました。この子は数日間具合が悪かったのですが、地元の診療所では治療できなかったのです」と話す。

マリアナさんの孫娘は、デング熱のほかにも病気を併発していたため、MSFが市内のマリオ・カンタリーノ・リヴァス公立病院に設けた集中治療室に移送された。

デング熱は蚊が媒介するウイルス性疾患であり、インフルエンザのような症状をともなう。中米では風土病となっている。これがデング出血熱に進行すると、出血や不可逆性のショックをともない、命を落とすこともある。

脆弱な保健医療体制が"壁"に

MSFによるデング熱の治療を受ける子ども MSFによるデング熱の治療を受ける子ども

ホンジュラスでは4つの異なる形態のデング熱が存在する。ネイラ医師は「この4種類は順番に発生します。感染リスクは、蚊が繁殖する5月から11月の雨季に特に高まります」と説明する。

デング熱の治療は対症的だが、早期診断と適切な治療によって、死亡率を大幅に引き下げられる。しかし、早期診断・治療が難しい場合がある。ホンジュラスの医療体制は危機にあり、医療物資や人材が不足しているためだ。ネイラ医師は「多くの人びとが、必要なタイミングで十分な治療を受けるためには、いくつもの壁があります」と話す。

MSFは、サンペドロスーラ周辺の各診療所に訓練を終えた医療スタッフを置き、早期発見・早期治療に取り組んでいる。また、マリオ・カンタリーノ・リヴァス公立病院では、15歳未満の子ども全員が投薬と治療を無償で受けられるようにしている。同病院の小児病棟には、デング熱ユニットを3ヵ所に設置。病院の医療スタッフの訓練もサポートしている。活動開始から2ヵ月で560人以上の子どもを治療した。そのうち5歳未満が25%を占めていた。

MSFはさらに、デング熱にかかった成人患者の治療用に、薬と医療物資を病院に寄贈。対応の拡大が必要となる事態に備えて引き続き流行状況を見守っている。

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