パレスチナ:ガザ地区の再建外科プログラムを拡大

2013年10月16日掲載

国境なき医師団(MSF)は、パレスチナ・ガザ地区のハン・ユニスにあるナセル病院で行っている形成再建外科プログラムを、2013年10月1日から、シファ病院でも提供している。保健省と共同でプログラムを拡大し、より多くの外傷患者、家庭内事故の被害者、熱傷患者などの治療を行うため。また、手足の機能回復を助ける活動も行っている。

MSFはナブルス、ヘブロン、東エルサレムで心理ケア・プログラムも展開中。パレスチナでは1989年、ガザ地区では2000年から活動を続けている。

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手術件数の8割は子ども

シファ病院とMSFと患者で治療計画を話し合う シファ病院とMSFと患者で治療計画を話し合う

MSFは、独自調査でガザ地区の現状と医療ニーズを把握し、2010年7月に、ナセル病院で形成再建外科と術後ケアのプログラムを開始した。2013年6月には、保健省と協力し、ガザ地区内の複数の病院の医師にシファ病院で集中治療の研修を実施。さらに、10月1日に最初の外科プログラムを立ち上げた。1週間で18件の手術予定が入り、その8割は子どもだった。

ガザ地区で活動しているMSFのマヘシュ・プラブ外科医は「プログラムの目的は、再建外科と術後ケアに関する知識と技術の共有です。プログラム開始後2日間は手術前検査に費やし、その後の7日間で手術を行いました」と話す。一方、ナセル病院では、2013年1~9月に126件の手術を行い、そのうち63%が小児患者だった。

MSFのエルサレムでのMSF活動責任者であるトマソ・ファブリは、シファ病院での活動を受け、「治療を受けられる患者が増え、保健省の待機リストが短縮されていけばいいと考えています」と話す。

術後ケアの提供、医薬品の寄贈も

ナセル病院でMSFが行っている外科手術 ナセル病院でMSFが行っている外科手術

再建外科は、ガザ地区で必要とされている非常に専門的な医療分野だ。少数の開業医や私立診療所を除けば、この種の治療が行える医療施設はシファ病院とナセル病院しかない。2007年のガザ地区封鎖で、450人以上の患者が12~18ヵ月も手術待機を強いられた。

MSFの外科医、手術室看護師、麻酔科医で構成したチームが、年に複数回、ガザ地区を訪れ、ナセルとシファの両病院スタッフと緊密に連携している。

術後の患者には、通常、MSFが運営する手と熱傷の術後ケア専門診療所を紹介する。2012年に提供された包帯・理学診療は約7000件。手術を受けた患者のリハビリテーション治療において重要な役割を担う理学療法は、早期回復を促し、痛みを緩和する効果がある。

MSFの専門診療所には、手の理学療法のために設けられた1室がある。一人ひとりの手の機能回復を促すことが目標だ。また、保健省や他の施設から紹介されて来た患者の治療にもあたっている。インシュリンの供給が滞り、不足が生じたため、2013年9月にはガザ地区全域のニーズを1ヵ月間充足できる分量を保健省に寄贈した。

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