チャド: スーダン人難民が急増、雨季が迫り......

2013年04月30日掲載

スーダンのダルフールで起こった武力衝突を避けるため、2013年3月上旬以来、隣国のチャド南東部に大勢のスーダン人、チャド人、中央アフリカ人が避難している。ティシ地域に滞在中の難民や、移住先からの帰還者も約5万人増加した。国境なき医師団(MSF)は人びとに、援助を受けるように呼びかけている。特に、2ヵ月後に迫った雨季の期間は、人びとがどこに滞在しているかを問わず、ニーズに対応することが重要になる。

MSFは1993年以来、チャドで継続的に活動。現在は、アム・ティマン、アベシェ、マサコリ、モイサラで活動を展開している。今回、大勢の人びとが避難し、滞在している場所は、いずれも"難民キャンプ"として公認されていない。スーダン国境に近く、治安上の懸念もあることから、国連機関や大半のNGOも援助に及び腰だ。

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食糧・水・医療が不足――健康悪化を懸念

女の子たちは日中、木陰に集まり、年下の子たちの面倒を見る

MSFのチームは4月第1週にティシに入り、地元住民や難民の間で流行しているはしかの対策に乗り出した。MSFの活動責任者であるステファノ・アルジェンチアノは「対策を開始すると、そのほかにも差し迫ったニーズがあるとわかりました」と話す。

新規難民の大多数が医療を受けられず、食糧も清潔な水も確保できていない。木陰で過ごしている人も多いが、日よけの効果は低い。人びとは、土ぼこりや、昼の暑さ、夜の寒さから身を守るものも持ち合わせていない。

こうした過酷な環境下では、人びとの健康状態は急激に悪化し、マラリアなどの感染症や栄養失調への抵抗力が低下することが多い。

ティシ地域で機能している病院はないため、MSFの複数のチームが救急医療と1次医療を提供している。また、暴力被害に遭った負傷者、5歳未満児、妊婦を治療するための救急処置施設も設置した。

4月26日現在、避難中に銃弾やナイフによるけがを負った40人と、交通事故で負傷した地元住民24人を治療。うち18人の重傷者は、容体を安定させた後、赤十字国際委員会の協力でアベシェの町へと移送した。

MSF、栄養失調・はしかの対策を進める

また、MSFはティシの唯一の清潔な水源を拡充。周辺地域での移動診療も開始する予定だ。さらに、15歳未満の3万200人を対象とした予防接種を完了。はしか患者52人の治療も行った。MSFが優先事項としている栄養失調対策に関しては、はしかの予防接種の際に、1万3700人に栄養検査を行った。そのうち120人が栄養治療プログラムの対象となっている。

女性と子どもが大半を占めるスーダン人難民の滞在環境は急速に悪化している。MSFには、病気の子どもが増えているという声も寄せられている。

わずか2ヵ月後には雨季が迫っている。アルジェンチアノは「雨季に入れば、陸路でこの地域の難民キャンプに来ることはできなくなります。人びとは完全に孤立してしまうでしょう。衛生条件は劣悪で、清潔な水も不足しているため、MSFはマラリアと呼吸器感染症の増加を懸念しています。コレラ流行の恐れもあります」と話す。

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