イラク:シリア人難民キャンプの環境に懸念

2013年05月17日掲載

国境なき医師団(MSF)は、イラクにあるシリア人難民キャンプ(ドミーズ・キャンプ)で、主要な医療提供者として活動している。ドミーズは滞在者数が飽和状態で、劣悪な生活環境となっており、人びとの体調が悪化している。新たに到着する人の数に応じてキャンプの規模が拡大されているため、MSFも人員を倍増した。

現在、週平均3500件の診療を行っているほか、はしかの緊急集団予防接種と、各テントへの清潔な飲用水の配給を行っている。MSFの緊急対応コーディネーターであるステファン・レイニールは、ドミーズで活動し、先日帰還した。レイニールに、劣悪な生活環境がシリア人難民の健康に及ぼす影響について聞いた。

MSFはドミーズ・キャンプの主要な援助提供者として、2012年5月から活動を続けている。現在、複数のチームが、キャンプ内で援助の最も手薄な区域に140基のトイレを新設中。病気の流行予防のため、既存のトイレの修復とよどんだ下水の汲み取りも行う予定だ。シリア内戦で周辺国に逃れた人は100万人を超え、その多くがイラクに入っている。

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感染症流行の恐れ、はしかの予防接種を実施

ドミーズ・キャンプ内の診療所の受付に並ぶ人びと

シリアの保健医療体制は内戦で機能しておらず、医療を受けられなくなった人びとがいます。2年にわたるこの紛争で、子どもたちも通常の予防接種を受けられていません。

ドミーズには連日、新たに難民が到着しています。もともと飽和状態だったところへ人が増えたために、住居用テントは過密状態です。こうした状況では、感染症の拡大が助長され、加速化するリスクが高まります。

2013年4月には、MSFチームとイラク保健担当局が、生後6ヵ月~29歳の1万9500人余りにはしかの予防接種を行いました。キャンプ内ではしかの症例が多く確認されたためです。はしかは依然として、命に関わる主な疾患の1つですから、集団予防接種は救命策にもなり得るのです。

MSFの診療所に人の集まる機会を利用して、髄膜炎の予防接種も行いました。大人数が非常にせまい間隔で滞在する場所では、髄膜炎もすぐに流行してしまう恐れがあります。

給排水・衛生面に深刻な課題

給水タンクに水を入れる作業員

人びとの生活環境は一定の水準を下回っています。4月の調査で、水の配給に明らかな不均衡のあることがわかっています。一部の区域で手に入る水は1人あたり1日わずか4リットルです。危機的状況でも、1人あたりの水の必要量は15~20リットル以上とされているのですが……。そもそも水や衛生施設がない場所もあります。とても看過できません。

この2ヵ月で、下痢の症例が3倍に増加しました。一般的に、清潔な飲用水の不足と劣悪な衛生条件で発生する問題です。

MSFは、難民の健康状態悪化を防ぐため、キャンプでの給排水・衛生活動を拡充しています。特定の水源から清潔な飲用水をトラックに積載し、一部区域の各テントに配給しました。

MSFの診断では、健康問題の大半は劣悪な環境に起因するものです。さらに、2013年初頭の厳冬が、それを助長しました。今は夏が近づいており、気温も40℃以上まで上昇することが予想されます。その場合、子どもや高齢の下痢患者をはじめ、人びとが深刻な脱水症状に陥るリスクがあります。

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