南スーダン: MSF病院にまた略奪・破壊行為――状況改善を強く要請

2013年05月20日掲載

国境なき医師団(MSF)は、南スーダンのピボール郡ピボールで、MSF病院を狙って機能不全に陥らせた破壊行為を強く非難する。この事件で約10万人が医療の機会を奪われた。現地では、南スーダン正規軍であるスーダン人民解放軍(SPLA)と武装勢力「ダヴィド・ヤウヤウ」の武力衝突が続いている。10万人の人びとは紛争を避けて湿地帯に身を隠しているが、季節は雨季に入っている。

MSFは現在、ジョングレイ州のアコボ、ニロル、ピボール、ウロル各郡で活動。ピボール郡内のグムルク診療所を含むすべての地域で機能を維持している。ただし、ピボールの病院とレクウォンゴル村の診療所は活動休止中。同村の診療所は、2012年8月に襲撃・損壊に遭い、その後の情勢不安と武力衝突で現地入りが阻まれている。

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薬をばらまかれ、電源ケーブルも切断

床にばらまかれて使えなくなった薬

2013年5月11日~12日、MSF病院から栄養治療食と病院用ベッドが略奪された。しかし、さらに異例なのは病院インフラの組織的で意図的な破壊行為だ。病院は大規模な修復を行わない限り、使用不可能な状態になっている。

MSFの南スーダンでのオペレーション・コーディネーターであるリヒャルト・フェールマンは「備蓄された薬を地面にばらまいて使えなくされたり、倉庫代わりのテントを切り裂かれたり、病院施設の備品を奪われたりしています。その上、電源ケーブルまで切断されたり、壁から引きはがされたりしているのです」と訴える。

現地のMSF病院は郡内唯一の病院施設だ。その他の病院は、最寄りでも150km以上離れている。同病院では2013年1~3月までに3000人超の患者が治療を受けた。そのうち、SPLA兵を含む100人以上が武力衝突で負傷し、外科処置を受けた。

フェールマンは「雨季が始まりました。適切な医療が受けられなければ、マラリアや肺炎などの呼吸器感染症が人命を奪う恐れがあります。これは、昨年までの経験から明らかです」と話す。

10万人が湿地帯へ避難、雨季が始まり……

略奪・破壊の被害に遭ったMSFの病院

MSFは、2012年11月発行の報告書「南スーダンの知られざる危機:民間人への暴力がジョングレイ州の地域社会を破壊し、救命医療の利用を阻む」で、ブッシュへの避難を余儀なくされ、医療が受けられなくなった人びとの健康に及ぶ深刻な影響について取り上げている。

ピボール郡での人道・医療援助は、すぐにでも再開されなければならない。フェールマンは「約10万人が半年にわたり、不安にさいなまれ、頼るあてもなく、湿地帯に身を隠しています。こうした人びとが一切の医療を受けられないなど考えられないことです。しかし、MSFが医療活動を再開し、援助が必要な人のもとを訪れる移動の自由を回復できなければ……恐ろしい現実になりかねません」と懸念する。

ジョングレイ州でMSFの医療施設が略奪・損壊に遭ったのは過去2年で6度目。4月19日にはスタッフと患者が脅迫行為を受けた。MSFは郡内の活動を中止し、医療・人道援助とスタッフの尊重や活動の保障を各方面に求めた。

その上で、1チームを現地に再派遣し、医療活動再開の準備を進めていた矢先に、今回の略奪・破壊行為が発生した。

MSFは、南スーダン政府がその責務を果たし、医療・人道援助活動とその拠点の尊重が徹底されるよう求める。また、ジョングレイ州内の各紛争当事者には、MSFの医療チームがピボール再派遣を妨げられることなく、いずれの陣営に属していようと、必要な人すべてに分け隔てなく医療援助を提供できる環境の整備を強く要請する。

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