チャド:雨季の始まる南東部でMSFは難民と帰還者への援助を継続

2013年06月06日掲載

チャド南東部が雨季に入る。国境なき医師団(MSF)は、隣国スーダンのダルフール地方での紛争を逃れてきた大勢の難民および帰還者への援助を、急ピッチで展開している。3月上旬以降、推計5万人のスーダン人、チャド人、中央アフリカ人がスーダン・チャド国境を越えた。難民は主に女性と子どもで、子どもの40%が5歳未満だ。避難開始から間もなく、傷つき、疲れ果てている。基礎医療、水、食糧、住居、適切な衛生環境が必要だ。

MSFは1980年からチャドで活動を継続。現在はアム・ティマン、アベシェ、マサコリ、モイサラを活動地としている。

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下痢と気道感染症、そして"はしか"も

シラ州のティシ周辺には機能している病院がないため、MSFは複数のチームで難民やチャド人に緊急医療・1次医療を提供。ティシに負傷者、5歳未満児、妊婦を対象とした救急処置施設を設置した。

5月第2週~5週の4週間に同地域でMSFが行った診療は約7000件。確認されている限り、最も罹患率が高い病気は下痢と気道感染症だ。はしかも流行しており、4月以降で13人の子どもが命を落とした。はしか対策として、15歳未満の3万2000人を対象に予防接種も行っている。

また、無防備な人びとをさまざまな面で保護する必要がある。若年層を含む女性たちは、性的暴力や、性差別に起因する暴力に遭う恐れが高まっている。MSFは、5月末の1週間だけで2人の強姦被害者を治療した。

清潔な水・食糧・住居が不足

ティシに到着し、急ごしらえの仮住まいを設置した難民

MSFはさらに、10村で難民・帰還者にビニールシート、毛布、蚊帳、貯水容器、せっけんを配給。ティシの北側6ヵ所に井戸を掘り、水の調達も支えている。MSF緊急対応コーディネーターのデルフィーヌ・シュドルジュは「雨季も間近いため、清潔で飲用に適した水の確保は重要事項です」と話す。

ティシの北側ではサラフ・ブルグをはじめとする複数の場所からチャド人帰還者が退去し、それぞれの出身地へ戻った。しかし、スーダン人難民の立場は微妙だ。MSFの活動責任者であるステファノ・アルジェンチアノは「水、食糧、住居が不足しており、スーダン人難民の健康状態が悪化する恐れがあります」とみる。

雨季に入ると、難民キャンプへの道が不通になり、地域唯一の滑走路も使用不可能になる恐れがある。そうなってしまえば、援助も届けられない。アルジェンチアノは「ティシ周辺の難民と帰還者への医療提供は今後も継続しますが、難しくなっていくでしょう。何としても援助が途切れてしまわないように、最善を尽くしています」と話す。

MSF、政府などに援助継続を呼びかけ

スーダン・中央アフリカ国境地域は武装グループ、民兵、盗賊団が徘徊しており、治安が非常に不安定だ。

MSFは、雨季の間も難民・帰還者の安全と継続的な援助が保障されることをチャド政府、国連、人道援助関係者に呼びかけている。対象となる難民・帰還者は、国境沿い100kmにわたり、十数ヵ所に散らばって滞在している。

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