コンゴ民主共和国:治安悪化・物資不足・病気の流行......現地で何が?

2013年06月11日掲載

国境なき医師団(MSF)が、北キブ州都ゴマ近郊のソトラキ競技場に避難中の約5000人に、移動診療を提供している。人びとが避難している理由は、2013年5月21日に発生したコンゴ民主共和国軍と反政府グループ「M23運動」の衝突だ。MSFは以前から、ブレンゴ・キャンプとムグンガ第3キャンプに避難した人びとを対象に活動してきた。今回、MSFのチームは、保安上の理由で活動を24時間中断したものの、すぐに再開した。現地の治安状況は総じて現在も不安定で、人道援助のニーズが高まっている。

MSFは北キブ州で1次医療、2次医療を提供。ゴマ郊外ではブレンゴとムグンガ第3キャンプで活動。2013年5月末以降はソトラキ競技場でも活動している。北キブ州内の他地域でも、ムウェソ、ピンガ、マシシ、ルチュル、ワリカレ、キチャンガ各地の中央病院を支援するとともに、診療での活動や移動診療を行っている。

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身一つで避難、長期化する人も

MSFの診療を待つ人びと(ソトラキ・キャンプ)

ソトラキ競技場に避難した約5000人は当初、ゴマ郊外の学校や教会で数日を過ごしていた。人びとが1ヵ所に集められたのは、人道援助を効果的に行うため。人びとが窮状にあることは明らかだ。

避難者のゲルトルデさんは「砲弾が自宅を直撃しました。家が壊され、何も持ち出すことができませんでした」と武力衝突のときの様子を振り返る。彼女は5人の子どもと10人の姪・甥とともに住まいの村からの退避を余儀なくされた。

避難者の中には、調理器具や衣服など手近にあるものを急いでかき集めた人もいるものの、大半の人が何も持ち出す時間がないまま避難せざるを得なかった。何日も食事を摂っておらず、空腹を訴える人も多い。家族とはぐれてしまった人もいる。しかも、2008年や2012年11月の武力衝突の時点で住まいを追われ、避難生活をずっと続けている人が大多数を占める。

下痢・感染症が流行、原因は?

診療時にはトリアージを行い、治療の優先度を判断する

MSFは避難者の競技場に到着後、速やかに移動診療所を開設し、複数のチームで1日平均100人以上を治療している。

MSFの緊急対応コーディネーターであるカロリーナ・ロペスは「治療にあたった病気の25%が下痢で、患者は主に5歳未満の子どもたちです。患者の35%が急性呼吸気感染症で診療所を訪れており、成人・小児患者の割合は同程度です。これらの病気の多くは幾晩も屋外で就寝していることが原因で、過密状態、不衛生、ほこりといったすべての条件がそれを助長しています」と説明する。

MSFではコレラの流行予防にも注力している。ロペスは「ゴマ郊外のほかのキャンプには既にコレラを発症している患者がいます。この病気の拡大は何としても避けなければなりません」と懸念する。MSFは数ヵ月前から、ブヒンバ難民キャンプでコレラ治療センターを運営している。

生活必需品が足りない

2012年11月の戦闘後に形成されたブレンゴ避難民キャンプでも、援助ニーズはさまざまだ。MSFはここでも、1次医療、予防接種、母子保健を提供している。ブレンゴは非公式キャンプであるため、人道援助団体からの援助を散発的にしか受けられていない。

キャンプ周辺の治安も不安定だ。こうした要素が相まって、生活必需品の配給も進まずにいる。キャンプ滞在者のシファさんは「何よりもまず、ビニールシートが必要です。手に入れた人もいますが、それもずいぶん前に破れてしまったものばかりです」と訴える。

武装した私服の男たちが今も近隣を徘徊していることが、人びとの不安の種だ。特に懸念されている性的暴力も、残念ながらブレンゴでは珍しいことではない。2012年12月以降、114件の強姦事件が報告されているが、届けられていない事件もあると見られている。

ブレンゴに滞在しているシアダさんは「森に薪を拾いに行くこともできません。襲われるかもしれないからです。そのため、料理をするには、とうもろこしを売って、炭を買うほかありません」と話す。

性的暴力が多発

同様の状況がムグンガ第3キャンプにも広がっている。同キャンプで活動中のMSF医療チームは、5月下旬の武力衝突後、性的暴力の激増を確認しており、1日に28人もの女性を治療したこともあった。各キャンプの外の戦線近くで、強姦事件が多発している。

キャンプ周辺地域では、その他の犯罪行為も日常茶飯事だ。先日もブレンゴの入り口から数百メートルの場所で、母親と幼い子どもが襲撃され、重傷を負った。

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