中央アフリカ共和国: 現地病院の診療、マラリアが8割

2013年06月21日掲載

中央アフリカ共和国東部で、2013年5月初旬、国境なき医師団(MSF)が保健環境と医療ニーズの調査を行った。対象は主に、2012年末から2013年初頭にかけて、当時は反政府勢力だった「セレカ」の攻勢を受けた地域。保健医療施設は既に壊滅状態だったが、暴力行為で状況はさらに悪化し、健康リスクが浮き彫りになりつつある。調査を率いたブリギッテ・ドップラー看護師に現状を聞いた。

MSFは1996年から中央アフリカで活動を続けてきた。紛争のいずれの陣営の支配地域かにかかわらず、国内全域で活動し、7つの保健地区のうち、5地区で合計8件のプログラムを展開している。病院7ヵ所、診療所38ヵ所を、1次医療、HIV・結核治療、栄養失調治療、顧みられない病気の治療、予防接種、外科医療を通じて支援中だ。

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農作業できず栄養危機の恐れ

避難を余儀なくされて農作業が手薄になり、
食糧確保が懸念されている

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、セレカの攻勢で、同国中部を中心に20万人が避難したとのことです。MSFがニーズ調査の対象に定めたのは第4保健地区(ワカ州のバンバリ、グリマリ)と第5保健地区(オート・コト州のブリア、ワッダ、ヤリンガ、ウアンジャ、ジャレ、バカガ州のビラオ)です。

調査の目的は、援助の展開が可能で適切な地域を特定することでした。6月には雨季が始まるため、道路が遮断される前の調査が理想的でした。

保健環境は深刻です。治安が悪く、人びとが避難を余儀なくされたことから、農業が手薄になり、次の9月の収穫も減少する見込みです。栄養危機の恐れも、ほぼ間違いなく現実となるでしょう。

マラリア流行始まる、チフスも増加

MSFが訪れた地域の保健担当局からは、マラリア流行の報告も受けています。雨季に入っていますが、人びとは依然として避難中で、薬も不足しているため、マラリアや、コレラなどの感染症の流行が懸念されます。バンバリではチフス患者の増加も確認しています。

セレカによる攻勢の際の暴力、略奪、乱用で、保健医療施設の壊滅と医療不足がさらに助長されました。診療所のスタッフは、ほとんどがブッシュの中か首都バンギに避難してしまいました。ほぼすべての施設が無人となり、一部は略奪被害にも遭っています。

コールドチェーン(低温輸送システム)が維持できないとか、設備や乗り物が盗難・損壊に遭ったといった理由で、定期予防接種も中断されました。MSFの配給したものを除き、薬剤、医療器具、輸血バッグの補充もありません。私がブリアの病院を訪問した際、3人の子どもが大量失血で亡くなるという出来事がありました。輸血が受けられなかったためです。

略奪で保健医療施設が閉鎖、医薬品も不足――オート・コト州ブリア

バンバリには医療スタッフが帰還しました。現地の病院は略奪を免れ、機能も維持しています。5月30日、MSFはグリマリの診療所とバンバリの病院に、輸血バッグ、手術室用の基本物資、検査キット、抗マラリア薬、抗生物質を寄贈しました。

しかし、ブリアはまったく顧みられないままです。第5保健地区では、各保健医療施設の距離がかなり遠く、6月から8月にかけては雨で道路も不通になってしまいます。MSFが2012年12月に医薬品を寄贈して以降、同地域では薬が一切補充されていません。

ほぼすべての保健医療施設が略奪に遭い、備品が盗まれてしまったため、一時閉鎖されています。救急搬送車もなく、保健医療スタッフも避難しています。

現地の病院で行われている診療の82%がマラリアを対象としたものです。生活必需品の価格は2倍から3倍にも上昇しました。MSFは、雨で移動が不可能になる前に、3ヵ月分の緊急キット1万人分、薬、検査キット、抗マラリア薬、抗生物質、輸血バッグなどを配布し、診療所や病院の備蓄を補充する予定です。

これらの物資はブリアから、MSFの輸送車2台が届けられる範囲で、遠隔の施設にまで運ばれます。さらに交通の不便な場所の施設には、バイクや徒歩で送り届けます。治安の問題でMSFスタッフが入れない地域については、地元の医療スタッフが物資を供給できるよう燃料を提供しています。

MSFは疫学的状況に注目し、マラリア、コレラ、髄膜炎、ポリオ、栄養失調などの患者の増加に備え、援助体制を維持しています。また新たな地域での調査活動や、その他の活動の可能性も検討中です。

マラリアへの懸念

マラリア治療は、中央アフリカにおけるMSFの優先事項の1つだ。ウハム・ペンデ州パウアでは、2013年1~5月の期間に1万5600人以上を診療。468人に入院治療を行い、425人を小児病棟に受け入れた。そのうち、6.1%の子どもが亡くなった。マラリアに感染した妊婦1236人も、産前ケアとともに、マラリア治療の対象となっている。

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