ゴミ山に捨てられた赤ちゃん...新しいお母さんと出会い、みんなを幸せに

2018年06月13日掲載

今年2月のある朝、生後間もない赤ちゃんがゴミ山の中から発見された。場所はエチオピア西部ガンベラ市にある教会の脇道。赤ちゃんは女の子で、裸だった。

ガンベラ総合病院にすぐに搬送されたが、体温が下がってしまっており、重い低血糖の症状もあった。国境なき医師団(MSF)小児科チームが治療にあたった。

MSFが活動するガンベラ病院
MSFが活動するガンベラ病院

「母親は路上で出産したのではないかと思います」と医療チームリーダーのセサル・ペレス・エレーロ。「手当てしていなければ、赤ちゃんは命を落としていたでしょう」。新生児ICUで治療し、容態は安定した。両親も身寄りもない赤ちゃん。MSFスタッフは、その悲しい境遇に心動かされた。「手厚いケアが受けられるようにできる限りのことをしました」とセサルは振り返る。

そんな同僚の中でも、とりわけ赤ちゃんの身の上を気にかけていた女性がいた。産科病棟・新生児科の通訳を担うアバング・オチュド・ジロだ。たびたび赤ちゃんの元を訪れ、様子を尋ねた。

通常の手続き通り、この身元不明の赤ちゃんはガンベラ州児童・婦人課に報告されたが、このとき、アバングは大きな決意をしていた。赤ちゃんを養子に迎えたい、と。

「大好きになってしまって。守ってあげたいと思ったのです。あの子を見ていると、とっても幸せな気持ちになります。だから一目見たときから、名前は(“喜び”という意味の)『ジョイ』かアヌアク語の『メテチ』と決めていました」

アバングは当局に養子縁組を申し出て、認められた。赤ちゃんはジョイと名づけられた。

路上のゴミ山から見つかった赤ちゃんのジョイ(左)と母親となったアバングさん
路上のゴミ山から見つかった赤ちゃんのジョイ(左)と母親となったアバングさん

「私には子どもがいません。母と3人の姉妹と同居しています。当初は仕事があるとき、ジョイの世話をどうしたらいいのか心配していましたが、母が『喜んで面倒を見るから心配しなくていい』と言ってくれたのです。一番下の妹も放課後は手伝うと言ってくれました」

「ジョイはいつでも誰にでも笑顔を見せます。私たちの生活はジョイが来て、一変しました。みんな幸せでいっぱいです」

ガンベラ総合病院の新生児集中治療室(ICU)では、MSFの医療スタッフが、地元の保健局とともに、未熟児、新生児感染症、髄膜炎などの治療にあたっている。MSFが活動を始めてから、産科の患者が増加。3月には270人を超える妊婦が出産し、新生児科で40人を超える赤ちゃんを受け入れた。