中央アフリカ共和国:MSF、紛争で避難した人びとに救援物資を配給

2013年07月05日掲載

国境なき医師団(MSF)はこのたび、中央アフリカ共和国のウハム州バタンガフォの町で、ビニールシート、蚊帳、毛布などの必需物資の配給を完了した。対象となったのは、隣国チャドからの遊牧民との激しい抗争で住まいの村が焼き落とされ、避難を余儀なくされた5000人余りの人びとだ。

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政変後、農耕民と遊牧民の対立激化

反政府勢力だった「セレカ」("連立"の意)による2013年3月の政変後、地域の治安部隊が手薄になったことで、同国の農耕民と遊牧民の間の抗争が激化。さらに長期化する様相を呈している。2月から5月にかけ、約30村が焼き落とされ、村民はやむなくブッシュへ避難した。

こうした事態を受け、MSFの医療スタッフは、物資配給や地域の子どもたちの健康状態の診断を行っている。政変に伴って農業が停滞しており、栄養危機の恐れがあるためだ。

同国の農耕民と隣国チャドから来た遊牧民ムバララ人の抗争は、10年前から続いている。衝突は、遊牧民が家畜の牧草を求めて越境した際に発生することが多い。穀物やピーナッツと並ぶ現地の主食"キャッサバ"の畑に侵入した家畜を、地元農民が収穫を守るために殺す。ムバララ人はこれに実力行使で報復する。

MSFのバタンガフォでのプログラム責任者であるカルロス・フランシスコは「2012年までは中央アフリカ政府軍(FACA)が抗争回避に努めていたのですが、今年はムバララの人びとを牽制する勢力がないのです」と説明する。

最初の村は2013年2月に、そのほかの大多数は5月に焼き打ちに遭った。バタンガフォから半径14~89kmの範囲にある25村6集落が焼け落ちたことになる。住民はブッシュや耕地に避難したり、近隣のほかの村の親類や知人のもとに身を寄せたりしている。

蚊帳、貯水容器、衛生用品を提供

MSFによる救援物資の配布

MSFはこれまで、1000世帯5000人余りに、建材、マラリア予防のための蚊帳、貯水容器、個人用の衛生用品を提供した。フランシスコは「人びとはすべてを失っています。草ぶきの家と全財産が燃え尽き、住むことができません。もう雨をしのぐこともできないのです。そこでMSFは、貯水容器や需要の高い滞在設備を提供しているのです」と話す。

フランシスコによると、現在、遊牧民は同地を去り、避難民の一部が帰宅を始めている。全焼を免れた村では、MSFの配給したビニールシートを屋根代わりにしている帰宅者がいる。一方、完全に破壊されてしまった集落では、帰宅もままならない。来年もまた襲撃されるのではないかと恐れ、生活再建に消極的になっているからだという。

MSFは複数チームによる救援物資配給のほか、週3回の移動診療を行い、避難中の2100人に医療を提供している。

農作業停滞で栄養危機の恐れ

物資配給の機会を利用して、MSFの地域保健担当者と医療スタッフは、栄養失調に陥りやすい子どもたちの健康状態を調査した。フランシスコは「栄養失調率が上昇しつつあります。警戒水準ではありませんが、多くの世帯で穀物の備蓄が減っていることは考慮に入れておくべきでしょう。次の収穫は3~4ヵ月以上あとです。つまり、夏の間は、栄養失調の深刻な増加に直面するかもしれないのです」と懸念する。

栄養失調への懸念に加え、マラリアの症例増加も予想される。ブッシュに隠れた人の多くが、マラリアを媒介する蚊に刺された可能性があるからだ。マラリア患者の増加は既に、MSFの活動する複数の病院・診療所でも確認されている。

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