チャド: 隣国で紛争再発、MSFが24時間体制で医療援助

2013年08月02日掲載

チャドとスーダンの国境付近で新たな紛争が起こり、多数の負傷者が出ている。国境なき医師団(MSF)は、複数のチームで負傷者の治療にあたっている。紛争地は、チャドと国境を接するスーダン共和国のダルフール地方。MSFは1週間で負傷者30人を治療。そのうち13人が銃で撃たれており、緊急手術のために近隣のアベシェ市に搬送した。今回の負傷者数は、MSFが過去2ヵ月以内に対応した中で最も多い。

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年初からの避難者、推計5万人に

抗争に巻き込まれて負傷し、MSFの治療を受ける患者

MSFは2013年4月、チャド南東部のシラ州ティシで緊急対応プログラムを立ち上げた。この地域は、抗争が続くダルフール地方と距離が近い。そのため、チャドからスーダンへ移住したものの抗争を避けて帰還した人や、抗争から逃れて来たスーダン人が滞在している。

こうした人びとの中には、抗争で被害を受けた人もおり、MSFが医療・人道援助を提供している。現在の人道危機の直接的な原因は、ダルフール州の一部地域で治安が悪化していることだ。2013年初から、すでに推計5万人がチャドへと避難している。

MSFのチャドでの活動責任者であるジェイソン・ミルズは 「この3ヵ月、MSFは80人を超える銃創患者を治療してきました。暴力の激しさに極めて深い懸念を抱いています。MSFは再三にわたり、24時間体制で重傷患者の容体安定と病院紹介に努めています」と話す。

水・衛生の管理にも注力

難民たちの水を入れる容器が並ぶティシの
給水ポイント

MSFはティシの町で医療施設1ヵ所を運営し、負傷者のほか、3500人余りの下痢、気道感染症、栄養失調といった病気を治療してきた。雨季でマラリアの流行が始まる時期となり、地域住民を対象にマラリア予防講習会を開いている。また、地域の保健医療スタッフのネットワークから協力を得て、ティシ住民および周辺の村に滞在するチャド人帰還者の健康状態を全体的に調査している。

一方、ティシの西方20kmに位置するアブ・ガダム難民キャンプでも1次医療を提供している。難民1万7000人が、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の誘導で、ティシから同キャンプへと移転している。MSFは8月上旬に入院施設を立ち上げ、2ヵ月にわたり、2次医療を提供する予定。

雨季の悪路で、給水車の移動が難しく、アブ・ガダムの飲用水はほぼ完全に枯渇している。7月半ばには、給水量が1人あたり1日1リットル未満となった。これは、人道的基準とされる1人あたり1日20リットルを大幅に下回っており、危機的水準に達している。MSFは7月21日、キャンプ近くのダムを修復し、その後の3日間で20万リットルを供給した。その結果、7月23日までには、給水量は1人あたり1日7リットルまで回復した。

チャドで活動するMSFの健康顧問トゥリド・ピーニングは「キャンプ内の給水量引き上げと、コレラやE型肝炎の流行予防のためのトイレ設置に多大な努力を払っています」と話す。

物資供給と輸送の困難はあるが、MSFは最短でも雨季の終わる10月まで、ティシ地域の緊急対応を継続する予定だ。

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