バングラデシュ:難民急増で医療需要が4倍に――MSF、緊急援助を強化

2017年10月18日掲載

ミャンマーからバングラデシュへと避難したロヒンギャが50 万人を超えた。主要な受け入れ先となっているバングラデシュのコックスバザール県では、衣食住や医療に関するあらゆる物資や設備が不足し、危機が深刻化。国境なき医師団(MSF)はチームを増強し、緊急援助を続けている。

プロジェクト数 7
スタッフ数 約1000人
診療した患者数 3万人以上(2017年8月25日以降の累計)
多くみられる病気 呼吸器感染、皮膚病、下痢性疾患
その他の活動 飲料水の輸送、給水ポンプの設置、掘りぬき井戸の設置、緊急用給排水・衛生設備の設置、心理ケア

医療の需要が4倍増、衛生環境の悪化も深刻に

MSF診療所で肺炎の治療を受ける子ども MSF診療所で肺炎の治療を受ける子ども

コックスバザール県には以前からロヒンギャ難民を対象としたキャンプが設置されており、計20万人が滞在していた。8月25日以降、新たに52万1000人が到着したことで、医療体制が圧迫されている。

クトゥパロン・キャンプでMSFが運営している診療所では、大規模な避難が始まる前と比べて需要が4倍に増加。1週間あたりの診療件数が外来約2500件、救急診療1000件に上っている。MSFはバルカリとマインネルゴナにも診療所を設置し、さらに移動診療チームも投入して医療ニーズの急増に対応している。

MSFでは、病気の流行を防ぐため、清潔な水の提供や衛生環境の改善にも力を入れている。これまでにトイレ200基、掘りぬき井戸25本を設置。また、重力式給水システム所整備した。また、MSFの入院施設内にある井戸から人びとのもとへ、1日に平均100m3の水を輸送している。

MSFは2017年内に、バルカリとクトゥパロンの両キャンプで、掘り抜き井戸400本、トイレ1000基の増設を目指している。ただ、キャンプの滞在人口に緊急対応の一般的な初動基準をあてはめた場合、バルカリだけでもトイレが8000基必要となる計算で、現状では大幅な不足となっている。衛生環境の改善が進まなければ、水を媒介して感染する病気が流行する恐れがある。

ラカイン州内での活動制限の撤廃を!

かまどに火おこすロヒンギャの女性ラカイン州都のシットウェの国内避難民キャンプで(2013年2月撮影) かまどに火おこすロヒンギャの女性
ラカイン州都のシットウェの国内避難民キャンプで
(2013年2月撮影)

一方、ミャンマーのラカイン州内にとどまっているロヒンギャも避難するしかない状況まで追い詰められている可能性がある。州内では医療を受けられず、食糧や生活必需品も手に入りにくいからだ。

ラカイン州北部から現在も、MSFなど独立系の国際人道援助団体が締め出されている。ミャンマー政府が、援助活動の許可をミャンマー赤十字社など一部団体のみに限っているためだ。

紛争当事者である政府が人道援助の提供者を選ぶことに、MSFは強い懸念を抱いている。現地の援助ニーズの規模は、選ばれた団体が扱える限界を超えている。危機に直面しているすべての人に公平に援助を届けるために、ラカイン州への進入制限の撤廃を強く求めている。

政府は現在、ラカイン州北部に国内で避難しているロヒンギャや、亡命先から帰還したロヒンギャを対象としたキャンプの設置を進めている。MSFはこの措置にも反対している。地域内の差別を悪化させ、長期的な解決策をさらに難しくする恐れがあるからだ。

ロヒンギャ難民緊急援助にご協力ください

寄付をする

  • 【支援対象】から「ロヒンギャ難民緊急援助」を選択してください。。
  • 国境なき医師団への寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。

関連情報