中央アフリカ共和国:ゴーストタウンと化した町、恐怖から治療にも来ない人たちがいる

2017年09月07日掲載

MSFが支援するンドゥの診療所 MSFが支援するンドゥの診療所

中央アフリカ共和国の南東部にある町バンガッスー。いまや武装勢力の支配するゴーストタウンと化した。

5月13日、自称「自警集団」がイスラム教徒の居住区を襲った。多くの人たちが川向うにあるコンゴ民主共和国の町ンドゥに避難。人口1000人の小さな町に、現在1万6000人余りが押し寄せている。

バンガッスーに残る人たちもいる。約2000人のイスラム教徒はカトリック教会の学校に身を寄せている。だが、国際社会からの援助は限られている。戦闘が繰り返され、援助団体の多くは撤退した。現在は、国境なき医師団(MSF)とカトリック系援助団体「カリタス」だけが残留し、援助を続けている。

もちろん、この学校はこうした国内避難民を保護するのに十分な施設ではない。それでも人びとは「自警集団」に殺されることを恐れ、街に出ようとはしない。国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)の部隊が近くにいてもだ。


バンガッスーにあるカトリック教会の学校

診療を受けようとしない。それは恐怖から

MSFはこの地域一帯で移動診療をしている。避難民に最低限の医療を届けるためだ。病院も運営し、紹介患者も受け入れている。ただ、活動は簡単ではない。

避難民の中には入院治療が必要であっても、病院を移動することを頑なに拒む人もいる。移動することを怖がるのだ。MSFは川向いのコンゴ民主共和国の町ンドゥでも移動診療をしている。だが、ここからバンガッスーの病院へイスラム系の患者を引き継ごうとするときも、同じように恐怖から移動を拒まれるケースがある。

バンガッスーの病院は115床あっても、収容能力の60%ほどしか使えていない。対照的に、町周辺にあるMSFが支援する診療所や、移動診療では診療件数が2~3倍に増えた。

避難民の生活環境は劣悪を極める。恐怖から、診療を受けようともしない。町の診療所では、医療スタッフも物資も足りない。このため、病院には、より重い容体でやってくる患者が増えてしまった。例えば、バンガッスーの病院では今年に入って、重症マラリアが増えている。

争いは続く……

ガンボに住んでいたデゥドネさん。ナタで襲われ、置き去りにされた。
75km離れたバンガッスーの病院に、2日間かけて何とかたどり着いた。

バンガッスー周辺でも混迷が続いている。8月半ばから、バンガッスーの西75kmにある町ガンボでは激しい戦闘が続く。詳細は把握できていないが、複数の負傷者が治療のためバンガッスーの病院を訪れている。

この町ガンボからさらに北135kmにある町バクマの診療所はほとんど機能していない。6月~7月に凄惨な戦闘が起きた場所だ。MSFは薬を配り、負傷者をバンガッスーの病院に送ってきた。だが、治療は困難を極める。例えば、最後に分娩を受け入れたのは6月10日にまでさかのぼる。妊婦が新たな襲撃を恐れて、診療所に来ようとしないからだ。

バンガッスーの北150kmの町ンザコでは、いまだMSFは活動できていない。だが、現地から届く情報によると、非常に気がかりだ。さらに、バンガッスーの東にある町ゼミオでは、紛争が拡大している。

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