エチオピア:子どもの栄養失調が前年比10倍に――ドロ地域

2017年06月28日掲載

エチオピア・ソマリ州で栄養失調が警戒水準に達し、深刻な人道危機に直面している。国境なき医師団(MSF)は最も深刻なドロ地域で医療・人道援助を続けている。MSF栄養顧問のサスキア・ヴァン・デル・カムは「ドロ地域における過去10年の活動で、重度急性栄養失調の小児患者数が最も多くなっています」と話す。

MSFはエチオピア保健局との協力のもと、外来栄養治療センターを27ヵ所、入院栄養治療センターを4ヵ所設置した。2017年1月から現在までで、ダノド、レヘル・ユクブ、ワルデル、ガラディ、ダラトレの5地域で6136人を治療した。前年同期の治療数は491人で、患者数が10倍以上に増えたことになる。

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天候不順で干ばつとなり……

避難キャンプで食事を待つドロ地域の子どもたち(2016年12月撮影)半年後の現在、状況はさらに悪化している 避難キャンプで食事を待つドロ地域の子どもたち(2016年12月撮影)
半年後の現在、状況はさらに悪化している

MSFは6月前半に322人の子どもたちを受け入れたが、そのうち51人は助からなかった。その後も患者は途切れることなく、死亡数は67人まで増えている。

危機的な栄養失調の前触れとなったのは天候不順だ。2回連続で雨期が訪れず、干ばつとなったのだ。住民の多くが家畜を失い、伝統的な移動型の生活(遊牧)をあきらめるしかなかった。現在は非公式キャンプに滞在しているが、生存に必要な食糧や安全な水が確保できていない。

ファルダウサさんは孫娘のマイダちゃん(3歳)をMSFが支援する栄養治療センターに連れてきた。「干ばつになって家畜が死んでしまったので、遊牧生活が続けられなくなりました。こんなに大変な状況は初めてです。生活に必要なものは全て家畜から得ていたので、何もかもなくした今、子どもたちが病気になって死んでしまうのです」

5月末には配給がストップ

干ばつはこの地域では珍しいことではない。住民の大部分は遊牧生活で、雨期を待つ間、ラクダや牛の損失をできる限り抑える方法を熟知している。しかし、2回連続で雨期がこなければ限界だ。生活が破たんし、外部からの支援に頼るしかない。

MSF緊急対応サポートデスク責任者のカルリーネ・クライエルは「家畜がいないということは、収入源も運搬手段もないということです。食べ物を求め、私たちの住居の玄関先までやって来る人もいるほどの状況です」と話す。

非公式キャンプの滞在者には、州政府から調理済みの食事2~3品目が配給されている。しかし、避難者数の多さに供給量が追い付かず、食糧が底を尽きつつある。

クライエルによると、5月最終週は食事の配給が中止となり、月1回の乾燥食品の配給にも遅れが出たため、大勢が全く食べ物のない状態に置かれたという。

MSF栄養顧問のヴァン・デル・カムは「国連世界食糧計画が、7月末にはソマリ州の緊急食糧援助がストップし、170万人の栄養失調リスクがさらに高まると警告している点が気がかりです」と話す。

重症患者と"その他"の二者択一

MSFは州内の他地域、ジャラルやノゴブなどへの活動拡大も検討している。

「MSFと保健当局は、(限られたキャパシティーの中から)栄養失調による死亡率を引き下げることに注力し、1人でも多くの子どもに栄養治療食を届けています。MSFが受け入れている患者の中には、少数ですが、現時点では命に別状がないレベルの患者もいます。こうした子どもたちへの包括的なケアは、優先度が低めに設定されています。本来はこのような二者択一をすべきではありません。さらなる食糧援助と活動を担う援助団体を今すぐに必要としています」(ヴァン・デル・カム)

MSFは、食事の配給が必要な人に継続的に届くように、資金提供者にエチオピア支援の拡大を求める。また、複数の人道援助団体が協力し、危機的状況の悪化を防ぐため、最も被害の著しい地域にスタッフと物資を送る必要もある。

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