コートジボワール:お母さんと赤ちゃんの命を救う

2017年06月15日掲載

新生児集中治療室でケアを受ける赤ちゃん 新生児集中治療室でケアを受ける赤ちゃん

アフリカ中部の西側に位置するコートジボワール。この国のアンボル州で、国境なき医師団(MSF)は保健省と連携し、妊産婦と5歳未満の子どもの死亡数を減少させる母子保健・産科医療プロジェクトに取り組んでいる。2017年は、アンボル州の中でも都市部から最も離れている地域にも支援を拡大している。

生後48時間。名前はまだない。なのにもう、男の子は「生存者」になった。お母さんのファトゥマタさん(仮名)は20歳になったばかりだが、2年半前、カティオラの町外れの自宅で双子を出産した経験がある。今回もまた双子で、自宅出産となった。

難産だった。ファトゥマタさんが病院に運ばれてきたとき、双子のうち最初に出てきた子は重度の呼吸器疾患に陥っていた。一方、もう1人は分娩が中断されたために、おかしな体位で子宮内にとどまっていた。

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なぜMSFがカティオラで活動しているのか

最初の子は集中治療室へ、お母さんは手術室へと大急ぎで運ばれ、2人目の赤ちゃんも帝王切開で取り出された。だが医療チームの懸命の努力も完全には実らず、最初の赤ちゃんとお母さんは数時間後に亡くなった。

お母さんはもともと助かる見込みが薄かった。産前ケアを全く受けていなかったこともあり、搬送されてきたときにはすでに容体が重く、大量に失血していた。双子の2人目は新生児集中治療室で治療を受け、やがて父親と面会した。

MSFの医療チームリーダーを務めるガブリエル・カビルワ医師は「ファトゥマタさんのケースは、『なぜMSFがカティオラで活動しているのか』を説明する上で象徴的です」と話す。

MSFと保健省のさまざまな取り組み

新生児の採血検査を行う看護師たち 新生児の採血検査を行う看護師たち

アンボル州では例年、多くの女性がファトゥマタさんと同じ運命をたどっている。新生児が出産時かその直後に命を落とすケースもあとを絶たない。

母体の死因で最も多いのは、重度の出血と妊娠中の高血圧に伴う機能障害「子癇(しかん)」だ。一方、新生児の場合は敗血症が死因の第1位となっている。

「合併症を扱える水準の医療が行き届いていないことが原因です。治療費が高すぎて払えなかったり、遠く離れた病院まで行かなければならなかったり、あるいはこの水準の医療がそもそも存在しなかったりする地域もあるのです」

カティオラでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるロマン・ジャキエは「MSFは保健省と連携して、カティオラ病院とその他の1次医療施設3ヵ所で質の高いケアを受けられるようにしています」と説明する。

「医療機関の間でも連携をはかり、母体や新生児のケアに連続性を持たせています。妊娠から分娩にいたるまでの経過観察に始まり、お産の時のお母さんのケア、産科救急の症例管理、低体重児や合併症を持って生まれてきた新生児のケアなどへと進んでいきます」

アンボルでMSFの医療活動マネージャーを務めるエステル・トマは「MSFと保健省の合同チームは、1次医療施設での分娩介助や、スタッフが急患を診ている間の電話相談の対応、母体や新生児の状態に応じた病院への搬送を手配しています。また、MSFは医薬品、医療機器、清潔な水の供給も行っています」と話す。2017年の目標は、支援している1次医療施設数を2倍にすることと、長らく懸案となっている母子医療施設の改修を支援することだ。

早く治療を始めることができたから

ファトゥマタさんと同じ頃、アルベルティーヌさんもカティオラ病院に運ばれてきた。到着は早朝。病院から80km以上も離れたダバカラからだった。

担当のラシャ・コウリー医師によると、胎児は骨盤より大きく、帝王切開が必要だという。「命にかかわる手術になるかもしれません。分娩が長引けば子宮破裂や分娩停止の恐れも出てきます。いずれも母体に重い合併症を引き起こしかねません」

アルベルティーヌさんは初めての出産が帝王切開だった。今回、陣痛促進のために伝統的な医薬品を服用していた。その影響で子宮の一部が破裂してしまっていたのだ。

手術開始から1時間後、アルベルティーヌさんは危機を脱し、新生児も蘇生した。胎便(新生児が初めて排出する便)が肺につまっていたため、小児科医と助産師が蘇生術を行い、命を取りとめたのだ。この男の子は今、新生児集中治療室でケアを受けている。

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