髄膜炎ベルト:予防接種の大切さを広めよう!

2017年06月07日掲載

ババ・マキントゥさん(92歳) ババ・マキントゥさん(92歳)

アフリカ大陸中央部、大西洋岸のセネガルからエチオピアまでの一帯では、乾期になると髄膜炎が流行する。「髄膜炎ベルト」と呼ばれる範囲に、ナイジェリアとニジェールも含まれる。そしてまた今年も、C型髄膜炎の流行が始まった。

ナイジェリア北部のヨベ州タマトゥル町に暮らすババ・マキントゥさんは92歳を迎えた長老だ。70年近く前、25歳ぐらいのころに髄膜炎になり、しばらくの間、視力を失っていたという。

「脚にも障害が残り、今ではほとんど力が入りません。町ではこれまで大勢の住民が髄膜炎になりました。この病気で亡くなった方の家族が大変な思いをされているところも何度も目にしました。だから、予防接種を受けることは大事だと思います。みんなに接種を受けるようにと勧めています」

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ナイジェリアでは過去最悪の流行

予防接種を受け、証明書を手にした女性 予防接種を受け、証明書を手にした女性

世界保健機関(WHO)によると、2016年12月13日から2017年5月14日にかけて、ナイジェリアで報告された髄膜炎の疑いがある症例は計1万3943人、死亡者は1112人に達しているという。一方、ニジェールでは保健省が、1月1日から5月7日にかけて症例数が3037件、死亡者が179人と発表している。患者は国内西部で多くみられるという。

ナイジェリアでの流行規模は直近9年間では最大だ。国境なき医師団(MSF)はソコト州とザムファラ州アンカにある保健省管轄の医療施設2ヵ所と連携し、2400人以上の患者を治療している。

また、保健省とともにソコト州内の流行地域3ヵ所で集団予防接種を行い、約14万600人に接種した。さらに、5月第4週にはヨベ州内でも4ヵ所で集団予防接種の支援を行い、13万6000人に接種した。

若者たちの未来のために

ダマトゥル出身で学生のムスタファ・イブラヒムさん(15歳)は「うちは10人家族で、市場で"物売り"をして生計を立てています。ここには兄弟姉妹数人で来ました。髄膜炎になるといろいろ困ったことになるでしょうから、父が予防接種を勧めてくれました。受けていれば心配せずにすみますから」と話す。

ダマトゥルでの集団予防接種活動で、MSFの健康教育チームリーダーを務めるハムザ・ハッサン(38歳)は「実施日の3日前ぐらいから各家庭や、地域の指導者、宗教指導者、女性団体、青少年団体、労働組合などをまわり、髄膜炎についての情報を伝えています。髄膜炎は命を危険があり、障害が残る恐れもある病気です。そのことを伝え、予防接種を受けてもらうことが目的です」と説明する。

MSFとともに活動している地域保健担当のソロモン・ジャコブさん(25歳)は予防の普及に期待をかけている。「私も8人の子ども全員に接種を受けさせました。近所の人や同僚、友人にも勧めています。髄膜炎ワクチンは1歳から29歳までの誰でもが受けられます。この国には将来リーダーとなるべき若者が大勢います。予防の重要性についての理解が深まれば、予防接種を受ける人は増えていくでしょう。ダマトゥルではすでに人口の95%が接種を受けたのですから」

ムスタファ・イブラヒムさん(15歳) ムスタファ・イブラヒムさん(15歳)

MSFの健康教育チームリーダーを務める
ハムザ・ハッサン(38歳)
MSFの健康教育チームリーダーを務める
ハムザ・ハッサン(38歳)

ソロモン・ジャコブさん(25歳) ソロモン・ジャコブさん(25歳)

ニジェールでは46万人を対象に予防接種

一方、ニジェールでは行政と連携して46万3800人を対象に集団予防接種を実施した。ニアメ、ティラベリ、ドッソ、タウア、マラディ各県内で、流行中もしくは流行の恐れがある保健区域28ヵ所で、2歳から20歳までの住民が接種を受けた。

このほか病院3ヵ所と診療所24ヵ所に医薬品や迅速診断キットなどを寄贈。早期発見と適切な症例管理のために医療スタッフの増員も行った。同時に、流行リスクが存在する地域で疫学的監視も続けている。

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