南スーダン:2万人がキャンプからスーダンへ再避難――上ナイル州の戦火拡大で

2017年05月16日掲載

アブロク周辺で避難生活を続けている人びと

南スーダン・上ナイル州のアブロクにある国内避難民キャンプに滞在していた人びとのうち、2万人以上が国境を越えてスーダンに逃れる事態となっている。その多くは重度の脱水状態で国境通過地点に到着し、応急処置を必要としている。

再避難の背景には、上ナイル州で戦闘が広がっていることがある。また、避難キャンプの劣悪な生活環境も一因だ。一方、スーダン内の難民キャンプもすでに飽和状態で、環境がさらに悪化しつつある。現時点ではアブロクにとどまっている人びとの中でも、1万8000人以上が北隣のスーダンを目指すとみられる。一方、清潔な水、食糧、仮設住居などの援助が届く事を期待して残留している人もいる。

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再避難を決意したわけ

トラックに乗り込みスーダンへと向かう

スーダンにたどり着いた人は「(脱出は)治安の悪さと食糧・水不足が主な理由です。スーダンでは援助を受けられていますし、家族とも一緒に生活できています」と話す。

上ナイル州のコドクの近くで戦闘が起き、アブロクに2万人が避難してきた際もMSFは援助活動を維持した。野外病院では1次医療と2次医療を提供し、下痢症などの治療にあたった。

MSFの活動責任者を務めるマーカス・バックマンは「アブロク周辺で診察した患者の大半は、わずかな持ち物をまとめて北へ向かって出発するトラックの予約待ちをできるまで待っているところでした。自宅を放棄するしかなく、あちこちに移動しながらたどり着いた人ばかりでした」と証言する。

生存に必要な水量の半分以下!

木陰の下で強い日差しを避ける
1人あたりの給水量はわずか1.1リットル/日だ

マラカル出身者が多く、ワウ・シルクに避難したものの、2017年初頭に町が攻撃され、アブロクに逃れてきた。そこに、コドクの国内避難民キャンプから逃れてきた人びとが合流した。

バックマンは「地域全体が不安定になっています。戦闘はトンガやカカなど他地域にも広がり、さらに多くの人が北上しています。ただ、今もアブロクに残留している人は、生活環境が改善されればこのまま留まるのではないかと思われます」と付け加える。

アブロク周辺に避難してきた人びとはごく最近まで、最高でも1日2万1000リットル、1人あたりわずか1.1リットルという水量で命をつないでいた。これは生存に必要な最低量の2.5リットルをはるかに下回る。また、給水ポンプは手動で、設置数はわずか3台だ。清潔な水の確保も懸念されている。人間も動物も戸外にある給水ポンプ周辺で排泄(はいせつ)しているからだ。

援助活動は時間との戦い――雨期せまる

国境通過点まで250kmの道のりを歩き続ける

アブロクの市場にはスーダンからの食料品が届き始めたが、価格は高騰していて、買える人はほとんどいない。

他の人道援助団体もアブロク周辺で活動を開始したが、雨期が来る前の援助活動は時間との戦いだ。遅れれば現地輸送は不可能になる。

バックマンは「スーダンとの国境を越えるまでの250kmの道のりを徒歩で避難しています。その中には亡くなった人もいるとの報告が何度かありました。国境に到着した人びとは疲れ果てて体調を崩しています。脱水症状、下痢、栄養失調もみられます」と話す。

水・物資の不足が新着者に影響

患者にわたす医薬品を準備するMSFスタッフ

国境地帯にあるコル・ワラル難民キャンプには、公式の難民登録を済ませた3万人のほかに、2万人が受付を待っている。ただ、キャンプの想定収容人数は1万8000人で、バックマンは「すでに懸念が強まっています」と指摘する。

水は少量しか手に入らず、衛生設備や衛生用品、仮設住居や救援物資(ビニールシート、調理器具や清掃用品など)の供給は、依然として需要に追いついていない。この事態は新着者の健康に大きな影響を及ぼすものとみられている。

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