エチオピア: 過去最悪の干ばつで下痢が大流行、なぜ?

2017年05月01日掲載

専門治療施設を新設するMSFスタッフ 専門治療施設を新設するMSFスタッフ

エチオピア東部のソマリ州ドロ地域で、急性水溶性下痢症が大流行している。その主因は過去30年で最悪の規模の干ばつだ。国境なき医師団(MSF)はエチオピア保健当局と協力し、この流行の制御に努めている。流行を止めるにはいっそうの国際支援が急務だ。

今回の流行は2017年初頭から続いているとみられ、4月7日に公式に宣言が出された。世界保健機関(WHO)によると、ソマリ州内に1万6000人以上の患者がいるという。また、地元当局は月平均の新規症例数を3500件と報告している。

エチオピア政府はこれまでに保健医療の専門家を1200人以上派遣し、専門治療センターを100ヵ所設置した。ただ、こうした対策で症例数が減少したとしても、再感染のリスクは高いまま。その理由が干ばつなのだ。

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安全な飲用水確保のためのインフラが不足

専門治療センター内から出るときは必ず靴裏を消毒する 専門治療センター内から出るときは必ず靴裏を消毒する

これまでにもさまざまな対策がとられているものの、ドロ地域でも特に被害の深刻な場所では依然として、掘削井戸、ポンプ、給水車、安全な飲用水の貯蔵タンクといったインフラの不足が深刻だ。また、緊急対応を行う国際機関の不在も事態悪化の要因となっている。

ドロ地域の住民の大半が移動生活を送っており、一般的に、雨期に1年分の水を確保する。しかし、直近の雨期は、2シーズン続けてほとんど降水がなく、深刻な干ばつとなった。手に入る水が1人あたり1日平均2リットル未満という地域があちこちに出現している。

清潔な水が不足しているため、人びとは衛生処理をされていない水源を使うしかない。その結果、急性水溶性下痢症が繰り返し流行している。

十分な給水がない状況で急性水溶性下痢症の患者を治療するのは大変難しい。多くの診療所が突発的な流行に対応しきれていない。MSFは保健医療施設への支援を強化するとともに、今回の流行への対策として設けられた期間限定の保健医療施設への緊急支援も拡大している。

水不足がもたらすもう1つの病気"栄養失調"

治療中の子どもと付き添いの母親たち 治療中の子どもと付き添いの母親たち

干ばつは下痢の流行のほかにも、食糧価格の急騰や、水を求める大規模な移動が起きている。水を探すのは主に女性や子どもの役割で、人間だけでなく家畜のための水も確保しなければならない。

「家畜が全滅した」との報告が各地で相次いでいる。ワルデルにあるMSF入院栄養治療センターに、重度栄養失調の子どもを入院させていた母親は、「遊牧をしていたのですが先日、連れていたラクダの最後の1頭が死んでしまいました。私たちは現在、水源がまだ保たれている辺りにとどまるほかありません」と話す。子どもは入院治療を受けて幸いにも回復した。

この母親と同様の境遇の人びとがドロ地域の各地で非公式キャンプを形成している。その全容を把握することは難しく、迅速な援助を難しくしている。

国際社会からの支援拡大が急務

国連は、エチオピアでは約570万人に食糧支援が必要だとしている。MSFとエチオピア政府は以前から、ドロ地域の重度栄養失調児の増加に警戒が必要だと報告してきた。

MSFはドロ地域の支援先施設で、2017年1月~3月だけで計2352人の重度急性栄養失調を治療した。2016年は通年で1230人だったことから、事態の深刻化は明らかだ。

重度急性栄養失調は特に子どもにとっては命取りだ。MSFは保健当局とともにゲラディとダノドで急性水溶性下痢症の治療にあたりつつ、明らかに栄養失調だと認められる5歳未満の子どもたちへの緊急対応も続けている。

エチオピアでMSF活動責任者を務めるオリバー・シュルツは次のように述べている。「干ばつと栄養失調と感染症は致命的な組み合わせです。清潔な水とインフラと資金を提供するための支援拡大が緊急に求められます。手遅れになると、さらに多くの人命が脅かされるでしょう」

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