ナイジェリア:ボルノ州の混乱で避難者急増――難民の強制送還も

2017年04月25日掲載

国境付近のランに避難してきた女性たち 国境付近のランに避難してきた女性たち

ナイジェリア北東部では、暴力と情勢不安で住民たちが避難する事態が続いている。その波は、紛争の中心地となっているボルノ州から遠く離れた町にまで到達している。また、国境なき医師団(MSF)は、カメルーンに逃れて難民となった人びとが強制送還される事態を目撃している。

2017年1月以降、ナイジェリアとカメルーンの国境付近のプルカに、1万1300人以上が到着した。これは町の人口の3分の1に匹敵する規模だ。その結果、人口は4万2000人以上にまで増えている。これまでにも過度の負荷がかかっていた避難者対応が、さらに強い圧力にさらされている。

同じく国境付近に位置するバンキでは、ナイジェリアからの難民がカメルーン軍によって強制送還されている場面を目撃している。2016年から2017年にかけて数回行われていた。

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1年以上も生活をしていたのに突然……

避難キャンプの給水ポイントは毎朝、水を汲む人びとで混雑する 避難キャンプの給水ポイントは毎朝、
水を汲む人びとで混雑する

バンギに送還された1人は「カメルーンのコロファタで生活を始めて1年以上もたっていたのです。なのに、ある日、説明もなく強制送還が始まったのです。誰も頼んでいないのに、無理やりです。選択の余地はありませんでした」と話す。また、プルカでMSFの治療を受けている患者たちも、強制送還を恐れてカメルーンを離れたと打ち明けてくれた。

周囲から隔絶されたランの町にさえも、避難者の到着が続いている。人口は3ヵ月で少なくとも1万人も増えた。一方、ディクワでは3月下旬だけでも2000人以上が避難者として登録された。

ナイジェリアでMSFの活動責任者を務めるヒメダン・モハメドは「過激派武装勢力"ボコ・ハラム"による襲撃、軍事行動、食糧や生活に必要なサービスを求める人びとなど、ほぼ毎日、大規模な移動があります」と話す。

事態悪化を食い止めるための対策を

プルカ、ラン、ディクワに逃れてきた人びとの大半は、人道援助団体の立ち入りが禁止されている地域から来ている。健康状態が悪く、ほぼ完全に援助に頼って生活している人が多い。軍は通行規制を行っており、農作業もほぼ不可能に近いため、自力で生計を立てていくことは不可能だ。

ナイジェリアでMSFのオペレーション・マネージャーを務めるガブリエル・サンチェスは「避難所、食糧、水がさらに必要になるでしょう。何も手を打たなければ事態は急速に悪化する恐れがあります」と指摘する。

ボルノ州東部の大半は、一部地域を除き、情勢不安のため援助団体の立ち入りが禁止されている。援助活動は大部分が州都マイドゥグリに集中しており、援助ニーズが最も高いボルノ州東部で継続して活動し続けている団体はごくわずかだ。

ランでMSFのプロジェクト・コーディネーターを務めるシラス・アダムーは「避難者は何も持っていません。ランでは、1日わずか5リットルの水で命をつないでいるのです。足りない分は水たまりから集めてくるほかない状況です」報告している。

MSFはボルノ州内の8つの町で、計12軒の医療施設を運営している。また、4ヵ所で定期的に診療を行っている。ザムファラ州、ポートハーコート、ジャフンなどでは引き続き、小児科、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)など幅広いプロジェクトを運営している。また、髄膜炎やはしかの流行をはじめとした緊急事態にも対応している。

2016年下半期、MSFはボルノ州で17万5877件の外来診療、14万6650人の子どもにはしかの予防接種を実施し、3218人の分娩を介助したほか、3万2365人に食糧を配布した。

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